こんにちは。人生の後半を穏やかに整えるヒントを発信している、中山眞治です。

筆者近影 作品「月のあかりに濡れる夜Ⅳ」と共に
さて、「今の家に、老後もそのまま住み続けられるだろうか?」。50代になると、体調や家族の変化をきっかけに、住まいの先行きが気になることがあります。
今は困っていなくても、階段の上り下り、買い物や通院、建物の修繕、毎月の住居費が、将来の負担になるかもしれません。
前回の記事、「50代になって疲れが取れないのはなぜ?無理を続けない体調管理の始め方」では、疲れを抱えたまま無理を続けない体調管理を考えました。
今回は、その体の変化を見据えて、暮らしを支える「住まい」を点検します。 持ち家にも賃貸にも、確かめておきたい点があります。
すぐに引っ越しを決める必要はありません。家の中と周辺環境、費用、一人暮らしになった場合を順に整理して、住み続けるための工夫と、住み替えを考える目安を見つけていきましょう。
それでは、早速どうぞ!
老後も暮らしやすい家か、今の住まいを点検する

住み慣れた家では、階段や掃除の負担も「いつものこと」、として当然に受け入れているでしょう。しかし、今は暮らせていても、体力や家族の状況が変わると、同じ生活が難しくなる場合があります。
前回の記事、「50代になって疲れが取れないのはなぜ?無理を続けない体調管理の始め方」では、無理を続けない体調管理を考えました。
住まいについても、疲れている日や体調を崩した日を想像すると、見直したい点が分かりやすくなるのです。
本章では、今の住まいを将来の暮らしに照らして見直し、点検する項目と取り組む順番を整理します。
これからの暮らしを、少しずつ整えていきませんか。
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「今は暮らせる」と「将来も暮らせる」を分けて考える
今の家で困っていないことは、大切な判断材料です。住み慣れた場所には安心感があり、近所の店や道が分かることも暮らしを支えています。
ただし、現在の生活が成り立っている理由も確認しましょう。階段を上れる、重い荷物を運べる、車を運転できるなど、自分の体力で不便を補っている部分はないでしょうか?
たとえば、2階の寝室も、膝や腰の調子が悪い日には移動が負担になります。遠い将来だけでなく、「疲れている日でも暮らしやすいか」を考えると、点検が具体的になります。
起床から就寝までを思い浮かべ、着替え、食事、洗濯、入浴などで負担を感じる場面を書き出してください。年齢だけで判断せず、自分自身の体調と生活動線を基準に考えましょう。
持ち家・賃貸それぞれで確認することを整理する
持ち家と賃貸では、点検する対象や相談先が異なります。まず、自分自身で管理することと、相談が必要なことを整理しましょう。
持ち家では、建物や設備の状態、過去の修繕履歴、不具合が出た際の相談先を確認します。マンションでは、室内の設備と建物全体の管理を分けて把握することも必要です。
賃貸では、契約書や設備の案内を確認して、不具合の連絡先を確かめます。手すりの設置などを考える場合も、取り付けや工事の前に、貸主や管理会社への確認が必要かを調べましょう。
最初は、契約書、修繕記録、連絡先を一か所に集めるだけでも構いません。不明な点をメモしておくと、その後の相談が進めやすくなります。具体的な維持費は次章で扱います。
広さや部屋数が、掃除と管理の負担になっていないか
広い家にはゆとりがありますが、暮らす人数や生活の仕方が変わると、使わない部屋や庭が管理の負担になることもあります。
掃除、換気、草取り、窓拭きなど、家を保つために行っている作業を振り返りましょう。現在でも大変な作業は、今後の対応を考えておきたい項目です。
ただし、広さだけで住み替えを決める必要はありません。よく使う物を生活の中心となる場所に集めれば、移動や片付けの負担が軽くなる場合もあります。
収納も、収まる量よりも、取り出しやすさに目を向けてください。踏み台が必要な場所や、深くかがむ場所に日用品を置いていないか確認します。まずは毎日使う場所から整え、歩きやすい通路と掃除しやすい床面を確保しましょう。
気になる点を、「今直す・備える・様子を見る」に分ける
点検で見つかった問題は、すべてを一度に解決しようとせず、三つに分けると取り組みやすくなるのです。
「今直す」は、すでに生活の支障や、危険につながっていることです。通路の荷物、暗い足元、めくれた敷物などから確認して、自分自身で対応できない不具合は相談につなげます。
「備える」とは、今後の負担が予想される部分のことです。階段を使わずに暮らせるか、庭の管理を頼めるかなど、情報収集から始めましょう。
「様子を見る」は、現在の支障が小さく、変化を確認しながら判断できることです。忘れないように、再点検する時期や相談の目安を決めておきます。

住まいの点検は、引っ越しを決めるためだけの作業ではありません。今の家で無理なく暮らすために、負担を見つけ、できることから順に整えていきましょう。
建物の老朽化と住居費を、長く暮らす視点で確かめる

今の家に住み続けるには、暮らしやすさとともに、建物を維持する費用にも目を向ける必要があります。住宅ローンを返し終えた持ち家でも支出は続き、賃貸でも家賃以外にかかる費用があります。
大切なのは、月々の支払いだけで判断をせず、設備の更新や退職後の収入の変化まで見渡すことです。理解できていない費用を整理するだけでも、住まいの先行きを考えやすくなるのです。
本章では、持ち家・賃貸それぞれの維持管理と費用を整理して、老後も無理なく住まいを保てるかを確かめます。
持ち家は、傷みと設備の更新時期を確認する
持ち家では、建物と設備の状態を把握することが、住み続けるための準備になります。屋根や外壁、水回りなどについて、最近気になった変化を書き出してみましょう。
雨漏りの跡、外壁のひび、水漏れ、給湯設備の不調などは、放置せずに相談したい項目です。ただし、自分で屋根に上るなど、危険を伴う点検は避け、専門家に確認を依頼してください。
過去の修繕記録も役立ちます。「いつ、どこを、どのように直したか」が分かれば、次の点検や見積もりの際に説明しやすくなります。記録がない場合には、覚えている範囲から整理しましょう。
修繕の時期や費用は、建物の状態、使い方、工事の範囲によって異なります。年数だけで交換を決めずに、状態の確認と見積もりを通じて、急ぐ工事と準備できる工事を分けることが大切です。
マンションは、専有部分と共用部分の修繕を分けて考える
マンションでは、自宅の室内設備と、建物全体の修繕を分けて考えます。浴室や給湯設備などの更新に加えて、外壁やエレベーターなど、共用部分の維持管理にも目を向けましょう。
まず、管理費と修繕積立金の現在の金額を確認します。そのうえで、長期修繕計画や管理組合からのお知らせを読み、今後の工事や負担について、どのような説明があるかを確かめます。
現在の支払い額が、一定のまま将来も続くとは限りません。増額や一時金について案内がある場合は、時期と金額を家計の見通しに加えておきましょう。
分からない点は、管理組合や管理会社に確認します。設備の修繕を誰が担当するか判断しにくい場合にも、自己判断で工事を進めず、管理規約などを確認することが必要です。
賃貸は、家賃に加えて契約と設備の状態を確認する
賃貸では、毎月の家賃と共益費・管理費に加えて、契約に応じた更新料や保証料、保険料などを確認します。支払いの時期が異なるため、家賃だけを見ていると負担を見落としがちになります。
契約書を手元に置き、次の更新時期や、その際に必要な費用を整理しましょう。長く住み続けたい場合には、契約の種類や期間について、不明な点を管理会社などに確認しておくことも大切です。
設備については、水漏れや給湯器の不調など、気になる状態を記録します。いつから、どのような症状があるのかを伝えると、相談が進めやすくなります。
修理の手配や費用負担は、設備の扱い、故障の原因、契約内容などによって確認が必要です。自分で業者を呼ぶ前に、貸主や管理会社へ連絡して、対応方法を確かめましょう。
毎月の住居費と、ときどき発生する費用を見える化する
住居費は、「毎月払うもの」と「年単位や臨時で払うもの」、に分けると整理しやすくなります。
毎月の支出には、住宅ローンや家賃、管理費、修繕積立金などがあります。別に、税金、保険料、契約更新時の費用、設備の修理や交換などを書き出しましょう。
年に一度払う費用は、月当たりに換算すると、毎月の負担と合わせて考えやすくなります。ただし、修繕のように金額が未確定なものは、確定した支払いと分け、見積もりなどで情報を補います。
退職後については、現在の収入を前提にせず、見込まれる収入と生活費の中で維持できるかを確認してください。支払い後に、食費や医療費などに使えるお金が、どれほど残るかまで考えましょう。
住居費を含め、老後の生活費全体をどう考えるかについては、こちらの記事も参考にしてください。JT4老後資金はいくら必要?人生の後半を安心して暮らすための考え方
段差・階段・水回りを、体の変化に合わせて見直す

住み慣れた家でも、体調が変わると、これまで気にならなかった段差や移動が負担になることがあります。建物の傷みとは別に、自分自身の体に合った使いやすさを確かめることも大切です。
最初から大きな工事を考える必要はありません。毎日の動きをたどり、物の配置や照明の配置だけで改善できることと、専門家への相談が必要なことを分けてみましょう。
本章では、段差や階段、水回りなどの生活動線を点検して、体の変化に合わせて暮らしやすさを整える方法を考えます。
玄関から寝室まで、毎日の動線を歩いて確かめる
点検するときには、玄関、居間、台所、寝室などを、普段の生活スタイルの順番で歩いてみましょう。段差だけではなく、通路の狭さや扉の開けにくさ、足元の見えにくさも確認します。
床に置いた荷物や電気コード、ずれやすい敷物などは、移動の妨げになることがあります。長年同じ場所に置いている物でも、「ここに必要か」と見直してみてください。
玄関では、靴を履くときの姿勢にも目を向けます。立ったまま片足を上げる動作が不安なら、通行を妨げない位置に、安定して座れる場所を確保できるか考えましょう。
夜間の動線も重要です。寝室からトイレまで、照明をつけやすいか、暗い場所がないかを確認します。点検のために、夜を想定した暗闇を歩く必要はありません。普段の不便を振り返り、安全に移動できる環境を整えると安心できます。
階段を使わずに生活できるか考える
戸建てでは、寝室、トイレ、浴室、洗濯場所がどの階にあるかを確かめます。階段を使う回数に加え、洗濯物や掃除道具を持って移動する場面も振り返りましょう。
たとえば、寝室を1階へ移しても、衣類や日用品が2階に残っていれば、上り下りは続きます。部屋だけではなく、生活に必要な物を、同じ階へ集められるかまで考えることが大切です。
今すぐ配置を変えなくても、体調を崩したときに一つの階で生活できるか、候補となる部屋を確認しておくと判断しやすくなれます。
集合住宅では、自宅の中に階段がなくても、建物の入口から部屋までの移動を点検します。エレベーターの有無、入口の段差、共用廊下などを確かめて、点検や故障でエレベーターが使えない場合の、生活への影響も考えておきましょう。
浴室・トイレ・脱衣所の使いやすさを確認する
水回りでは、立つ、座る、またぐ、かがむといった動作が重なります。見た目の広さだけではなく、実際に使うときの負担を確かめてください。
浴室では、出入口の段差や浴槽のまたぎやすさ、床の状態を確認します。トイレでは、便座から立ち上がりやすいか、扉の開閉や衣服の上げ下げに必要な空間があるかを見直しましょう。
脱衣所も、着替える場所や物の置き方によって使いやすさが変わります。床に置いたかごが通行を妨げていないか、タオルや衣類を無理なく取れるかも確認します。
寒い時期の温度差や、掃除の負担にも目を向けます。暖房器具などを使う場合には、その場所で使用できる製品か、設置方法は適切かを確認してください。設備の改善は、日常の動作と管理のしやすさを合わせて考えましょう。
小さな改善で対応できることと、改修が必要なことを分ける
点検で見つかった不便な点は、まず物の配置や使い方で改善できるかを考えます。通路の荷物を移す、よく使う物を手の届く高さに置く、照明を使いやすく配置するなど、身近な見直しから始めましょう。
一方、手すりの取り付け、段差の解消、扉や間取りの変更などは、建物の状態と身体の動きを踏まえた検討が必要になります。
手すりも、付いていれば安心とは限りません。使う人に合う位置や、しっかり固定できる場所を確認することが大切です。
工事を相談するときは、「浴槽をまたぐときにつらい」など、困る動作を具体的に伝えましょう。賃貸やマンションでは、工事の前に貸主・管理会社などへ確認する事項も整理します。
私が、福祉住環境コーディネーターとして特に重要な点と感じている部分は、杖を使って移動する場合の、杖側の接地部分の滑りにくいかどうかや、適切な位置に手すりが付けられるかの確認と、床側の滑りにくさも確保できるかの確認も必要です。
そして、車イスで生活する人の場合には、廊下の拡幅やトイレや浴室内の「介助者のスペース」や手すりが確保できているかどうかも検討が必要になります。
また、車イスで生活する人が移動する際の、廊下の角を曲がれるかどうかや、開き戸を引き戸にするなどの配慮も必要になる場合があるのです。

住まいの使いやすさは、自分自身の体と毎日の動きに合わせて考えるものです。小さな改善から始めて、対応が難しい部分は相談につなげることで、無理を減らせる住環境を整えていきましょう。
住まいの使いやすさと合わせて、疲れを抱えたまま無理を続けない体調管理についても確認しておきましょう。 JT74 50代になって疲れが取れないのはなぜ?無理を続けない体調管理の始め方
買い物・通院と、一人暮らしになった場合を点検する

家の中が暮らしやすくても、買い物や通院が難しくなると、生活を続ける負担は増えます。住まいの点検では、建物だけではなく、周辺の環境や利用できる支援にも目を向けましょう。
夫婦で暮らしている人は、一人になった場合の生活も考えておきたいところです。現在一人暮らしの人も、体調を崩したときに、家事や外出をどう補うか確認しておくと、備えが具体的になるのです。
本章では、買い物や通院のしやすさと、一人で暮らす場合の負担を点検して、家の外も含めた生活の続けやすさを確かめます。
車を運転しなくなっても、買い物や通院ができるか
普段から車を使っていると、店や病院までの距離を負担に感じにくいものです。しかし、運転を控えることになった場合には、同じ場所へ無理なく通えるとは限りません。
まず、車を使わずに買い物や通院をする方法を考えましょう。徒歩、バス、電車、タクシーなどについて、自宅から目的地までの移動を具体的にたどりましょう。
徒歩の場合には、距離だけではなく、坂道や歩道、途中で休める場所も確認します。買い物では、行きよりも、荷物を持った帰り道が負担になることもあります。
公共の交通では、停留所までの道、本数、乗り換え、帰りの便まで確かめてください。タクシーも、呼びやすさと費用を含めて考えます。「交通手段がある」だけではなくて、自分自身の生活時間や体力で利用できるかが判断のポイントです。
配送や生活支援を、実際に利用できるか確認する
買い物や家事を補う方法として、食品の宅配、配食、家事支援などがあります。ただし、名前を知っているだけでは、必要なときに使えるとは限りません。
利用を考えるサービスについては、対象地域、料金、注文方法、配達日などを確認しましょう。食品の宅配なら、最低注文額や送料、受け取り方法も家計と生活に関わります。
インターネットでの注文に不安がある場合には、電話など別の方法が使えるかを調べます。登録や支払いの手続きを、自分で進められるかも確認しておきたい点です。
可能であれば、元気なうちに一度利用すると、使い勝手を判断できます。品物の量や届く時間が生活に合うかを確かめて、普段の買い物と組み合わせましょう。支援を使うことも、今の家で暮らし続けるための工夫になります。
一人になったときに、家事と住居費を維持できるか
夫婦で暮らしている場合には、家事や手続きを分担しているため、相手が担う作業の詳しい方法を知らないことがあります。料理、洗濯、ごみ出し、支払い、修理の依頼などを振り返ってみましょう。
一人になったときに困りそうなことは、今のうちに方法や連絡先を共有しておきます。すべてを同じようにこなす必要はありませんが、暮らしを続けるための基本を把握することが大切です。
住居費についても、一人なら半分になるわけではありません。家賃や管理費など、人数が減っても続く支出を整理して、一人になった場合の収入で維持できるかを考えます。
現在一人暮らしの人は、数日間外出できない場合も想像してください。食事、日用品、ごみ出しなどをどうするか、頼めるサービスや人を確認します。日常の家事に加えて、体調を崩したときの代替手段まで備えましょう。
困ったときに連絡できる人や窓口を確かめる
生活上の困りごとには、内容に応じた相談先が必要です。設備の故障なら管理会社や修理業者、地域の生活支援については自治体の相談窓口など、用途ごとに連絡先を整理しましょう。
電話番号だけではなく、受付時間や、何を相談できるかも書き添えると使いやすくなります。契約書の中に連絡先が埋もれている場合には、必要な情報を取り出してまとめておきます。
身近な人へ頼る場合も、誰にでも同じことをお願いできるとは限りません。「短い連絡ならできる」「買い物の相談ができる」など、無理のない関わり方を考えてください。
一人暮らしへの備えを、住まいだけでなく入院や介護なども含めて整理したい方は、こちらの記事をご覧ください。 JT62 一人暮らしの老後はどう設計する?|入院・介護・認知症・死後に備える7つの仕組み
住み続けるか住み替えるか、自分に合う選択を考える

ここまでの点検で、今の家のよさと、将来負担になりそうな点が見えてきたのではないでしょうか。次は、その結果を基に、住み続ける場合と住み替える場合を比較します。
住み慣れた家への愛着も、住み替えによる暮らしやすさを求める気持ちも大切です。すぐに結論を出そうとせずに、改善できること、変えにくいこと、必要な費用を整理して判断につなげましょう。
本章では、住み続ける場合と住み替える場合の負担を比較して、自分自身に合う選択と、判断する時期を考えます。
住み続けるために必要な改善と費用を整理する
まず、これまでに見つかった困りごとを一覧にします。建物の傷み、階段、掃除、買い物、住居費などについて、どのような対応が必要かを書き添えます。
家具の配置や、生活する部屋を変えることで改善できるものもあれば、修繕や改修が必要なものもあります。宅配や家事支援を利用することで、負担を補える場合もあるでしょう。
一方、坂道の多い立地や公共交通機関の使いにくさなど、家の中の工夫とは違って、変えにくい条件もあります。改善できる問題と、残る問題を分けることが大切です。
費用は、工事などで一度かかる支出と、支援の利用料など継続する支出を区別します。そのうえで、必要な対応をしたあとでも、暮らしの負担が大きく残るかを考えましょう。
住み続ける条件を具体的にすると、住み替えとの比較がしやすくなります。
住み替え先は、広さや新しさだけで選ばない
住み替え先を探すときには、新しさや見た目だけでなく、自分の生活がそこで成り立つかを確認します。今の家で見つかった困りごとを、候補の住まいで解決できるかという視点が大切です。
室内では、玄関から寝室までの動線、段差、水回り、収納を確かめます。小さな住まいでも、必要な物を置くと通路が狭くなるならば、暮らしやすさを見直す必要があります。
周辺では、店や病院まで実際に歩き、道の状態や交通の使いやすさを確認しましょう。可能であれば、時間帯を変えて、騒音や明るさ、交通量なども確かめましょう。
また、今の地域を離れることで、通い慣れた病院や近隣との関わりが変わる場合もあります。持ち家・賃貸のどちらでも、費用、管理の負担、周辺環境を合わせて比較して、自分自身が大切にしたい条件を絞る必要があります。
引っ越し費用と、その後の住居費を合わせて比較する
住み替えでは、移転後の家賃や住宅の価格に加えて、移るための費用も必要です。引っ越し、荷物の処分、家具や家電の買い替えなど、想定される支出を書き出しましょう。
賃貸ならば、契約時の初期費用や、現在の住まいを退去する際の費用を確認します。住宅を購入する場合には、購入に伴う諸費用と、その後の維持費も含めて考えます。
今の持ち家を売る予定であれば、希望する価格で、希望する時期に売れるとは限りません。売却の見込みや必要な費用を確認して、未確定の売却後のお金を前提にして、計画を進めすぎないことが極めて重要です。
比較するときには、住み続ける場合と住み替える場合を、同じ期間で考えましょう。最初にかかる費用と、その後の継続費用を分けて並べると、負担の違いが見えてきます。
費用に加え、荷物の整理や手続きに使う労力も判断材料になるのです。
判断の目安と、次に見直す時期を決める
暮らしの点検をしても、すぐには結論が出ないことがあります。その場合には、「何が変わったら再検討するか」を決めておくと、迷ったまま放置することを防げます。
たとえば、階段の上り下りがつらくなった、車の運転を控えるようになった、修繕費が家計に重くなったなど、自分自身の生活に合う目安を考えましょう。
夫婦で暮らしている場合には、それぞれが困っていることや希望する条件を話し合います。一方が管理している家事や費用も共有すると、住まいの負担を具体的に捉えられるのです。
次の見直しは、年に一度、契約更新前、大きな修繕を考えるときなど、確認しやすい時期に設定します。住み替えの候補や費用を調べるだけでも、選択の準備は進みます。

住まいの選択に、誰にでも当てはまる答えはありません。点検の結果と自分自身の希望を照らし合わせ、暮らしの変化に応じて判断を更新していきましょう。
まとめ|老後の住まいは、今の暮らしを点検することから始める

「老後も今の家に住み続けられるだろうか」、という疑問には、建物の状態だけでは答えられません。体の動かしやすさ、買い物や通院の方法、住居費、家事の負担など、暮らし全体を見渡すことが必要になります。
住み慣れた家には、日々の安心感があります。近所の店や道を知っていること、気兼ねなく過ごせること、長年の思い出があることも、住み慣れた家を選ぶ大切な理由です。
そのよさを確かめながら、今の生活が何によって支えられているかにも目を向けましょう。現在は気にならない階段や広い庭も、体調によって負担が変わります。
車で行ける店や病院も、運転を控えた場合には通いにくくなるかもしれません。50代からの点検では、将来を決めつけるのではなく、暮らしの条件が変わったときに、どのような対応ができるかを考えておくことが大切なのです。
今回の住まいの点検では、次の7つを押さえておきましょう。
- 今の住み心地と、将来の暮らしやすさを分けて考える。
- 建物や設備の状態と、維持管理の方法を確認する。
- 毎月の住居費と、修繕などの臨時費用を整理する。
- 段差・階段・水回りを、体の変化に合わせて点検する。
- 車に頼らない買い物・通院の方法を確かめる。
- 一人で暮らす場合の家事・費用・支援を考える。
- 住み続ける条件と、住み替えを考える目安を決める。
持ち家では、住宅ローンの返済が終わっても、税金や保険、設備の更新、建物の修繕などの支出が続きます。
マンションでは、室内の管理に加えて、共用部分の修繕計画や費用も確認したいところです。賃貸でも、家賃以外の支払い、契約の内容、設備の相談先を把握しておく必要があるのです。
どちらの住まいでも、現在の支払いだけで判断せずに、退職後の収入で維持できるかを考えましょう。金額が分からないものは、確定した費用と分けて書き出し、問い合わせや見積もりで情報を補っていきます。
家の中の不便については、身近な改善から始められます。通路の荷物を移す、日用品を取り出しやすい高さに置く、生活する部屋をまとめるなど、使い方を変えることで負担が軽くなる場合もあるのです。
工事が必要な部分は、困っている動作を具体的に伝えて相談しましょう。また、一人暮らしへの備えは、家の広さだけの問題ではありません。
夫婦で分担している家事や手続きを共有し、一人になっても続く住居費を整理することが大切です。現在一人暮らしの人も、体調を崩して外出できないときの食事や買い物を、どう補うか考えておきましょう。
暮らしの点検で問題が見つかっても、すぐに引っ越しを決める必要はありません。「今直す」「備える」「様子を見る」に分け、取り組む順番を決めてください。
改善や外部の支援で対応できることと、立地など変えにくい条件を区別すると、住み続ける場合と住み替える場合を比較しやすくなれます。
住み替えを考える場合には、新しい住まいで日々の生活が成り立つかを確かめます。移転時の費用と、その後の住居費に加え、荷物の整理や手続きの負担、通い慣れた場所との距離も判断材料になるのです。
前回の記事、「50代になって疲れが取れないのはなぜ?無理を続けない体調管理の始め方」、で考えました体調管理と同じように、住まいの備えも、無理を重ねる前に始めることが大切になります。
まずは一日の動きを振り返り、気になる場所を一つ書き出してみてください。今の暮らしを丁寧に点検することが、これからも自分に合った住まいで過ごすための第一歩になるのです。
今の家を点検した結果、住み替えも選択肢に入れたいと感じた方は、次の記事をご覧ください。持ち家を手放す前に確認したい時期、転居先の暮らし、お金、準備の進め方を紹介しています。 JT76「老後の住み替えはいつ決める?持ち家を手放す前に考えたい5つのこと」
これからの暮らしを、少しずつ整えていきませんか。
住まい、お金、日々の過ごし方など、人生の後半を考えるヒントをメルマガでお届けします。
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住まいを整えることは、そこで過ごす時間を楽しむ土台にもなります。自宅で取り組める楽しみの一つとして、身近な道具で始められる鉛筆画があります。
描く時間が暮らしにもたらす魅力については、こちらの記事をご覧ください。 LS300 なぜ鉛筆画を描くと人生が豊かになるのか?上達だけではない7つの魅力!
私自身も、転職や起業、失敗や挑戦を繰り返しながら、人生の後半を少しずつ整えてきました。このサイトでは、その経験や学びをもとに、人生の後半を穏やかに充実させるヒントを発信しています。
この記事を書いた人
中山眞治
人生の後半を整えるアドバイザー
ファイナンシャル・プランナー(AFP)・終活カウンセラーなどの資格と人生経験をもとに、 40代以降の人生を「整えながら生きる」ための情報を発信しています。
プロフィールはこちら人生の後半とは、遅すぎるのではなく、これからの人生を整えていける時間がまだ充分にあります。あなたらしい歩み方を見つけるヒントになれば幸いです。

