40代からの人生の整え方

40代以降の人生には、 「頑張る」だけではなく、 「整える」という視点も大切になります。

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50代になって疲れが取れないのはなぜ?無理を続けない体調管理の始め方

暮らしを整える

 こんにちは。人生の後半を穏やかに整えるヒントを発信している、中山眞治です。

             筆者近影 作品「月のあかりに濡れる夜Ⅳ」と共に

 さて、「週末に休んだのに、月曜日から体が重い」「仕事を終えて帰ると、夕食を用意する気力も残っていない」。このように、50代になり、以前との違いを感じていませんか?

 一人暮らしでは、疲れていても買い物や洗濯、食事の準備を自分でおこなうため、休む時間は後回しになりがちです。

 しかし、疲れが取れない状態を「もう若くないから」、と簡単に片づけるべきではありません。生活上の負担や休養の不足に加え、病気や薬の影響などが関わる場合もあります。

 この記事では、疲れの現れ方と日々の過ごし方を振り返り、仕事や家事の負担を調整する方法、休み方、受診の目安を整理します。頑張ることを増やすのではなく、今の自分に合う暮らし方を考えていきましょう。

 それでは、早速どうぞ!

  1. 50代の疲れを「年齢のせい」で片づけないために
    1. 以前との違いに気づいても、加齢だけが原因と決めつけない
    2. 体のだるさ・眠気・気力の低下を分けて振り返る
    3. 仕事・家事・心配事など、重なっている負担を確認する
    4. 生活の見直しと医療機関への相談を並行して考える
  2. 疲れが取れないときには、一日の過ごし方を振り返る
    1. 疲れ始めた時期と、つらくなる時間帯を記録する
    2. 睡眠時間だけでなく、起きたときの休養感を確かめる
    3. 食事・飲酒・服薬と、最近の生活の変化を整理する
    4. 仕事や家事にどの程度支障が出ているかを書き出す
  3. 仕事と家事の負担を減らし、無理を続けない暮らしに変える
    1. 「今日必要なこと」と「後日に回せること」を分ける
    2. 仕事の量・締め切り・担当を具体的に相談する
    3. 買い物・調理・洗濯を簡略化して負担を減らす
    4. 一人で抱え込まず、人やサービスを頼る
  4. 休むことを後回しにしない、日常と休日の過ごし方
    1. 限界まで頑張る前に、作業の区切りで休む
    2. 帰宅後は予定を詰めず、落ち着く時間をつくる
    3. 休日に家事と用事を集中させすぎない
    4. 休んでも戻らない疲れに、運動や予定を上乗せしない
  5. 疲れを我慢し続けないための受診の目安と相談の準備
    1. 原因がわからない疲れが続く、生活に支障が出るときには医師へ相談する
    2. 体重の変化・動悸・息切れなど、ほかの症状も伝える
    3. 急な呼吸困難や強い胸痛など、緊急の症状を知っておく
    4. 受診時のメモと、一人暮らしの緊急連絡先を準備する
  6. まとめ 50代の体調管理は、疲れに気づき、暮らしの負担を調整することから

50代の疲れを「年齢のせい」で片づけないために

 「以前は一晩眠れば元気になったのに、最近は疲れが残る」。そんな変化を感じると、「50代だから仕方がない」、と簡単に考えてしまうかもしれません。

 しかし、年齢だけで説明しようとすると、暮らしの負担や、医療機関に相談したほうがよい変化を、見過ごすおそれもあります。

 大切なのは、若い頃と同じように頑張れるかどうかではなくて、今の疲れがどのように現れ、生活にどのような影響をもたらしているかを確かめることです。体調管理は、体力を増進することから始めることではありません。

 本章では、疲れを年齢だけの問題と決めつけずに、今の体調と暮らしの負担を整理するための視点をご紹介します。

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以前との違いに気づいても、加齢だけが原因と決めつけない

 50代になってから、新たに感じる疲れもあった場合に、その原因は加齢とは限りません。

 英国の公的医療機関であるNHSは、疲れに関わる要因として、睡眠不足、ストレス、病気、一部の治療や薬の影響などを挙げています。症状だけで自己診断せずに、心配な点がある場合は医師に相談するように案内しています。

 たとえば、以前と同じ仕事をしていても、担当する量が増えたり、通勤時間が長くなったりすれば、暮らし全体の負担は変わります。親の介護や将来への心配が加わり、仕事を終えても気持ちが休まらない場合もあるでしょう。

 「50歳を過ぎたから」、という説明だけで終わらせず、疲れを感じ始めた頃に何が変わったかを振り返ってみてください。急に現れたのか、少しずつ強くなったのか、休んだ後に変化があるのかも、医師へ相談の際に役立つ情報です。

 ただし、生活の変化が見つかっても、それだけが原因とは判断できません。「忙しいから当然」、と我慢せず、以前との違いを、そのまま確かめる姿勢を持ちましょう。

体のだるさ・眠気・気力の低下を分けて振り返る

 「疲れた」という言葉には、さまざまな状態が含まれます。

 体が重くて動きにくいのか、日中に眠くなるのか、何かを始める気力が湧かないのか。きれいに分ける必要はありませんが、具体的な場面を思い出すと、自分自身の状態を伝えやすくなるのです。

 たとえば、「帰宅すると横になりたくなる」「会議中に眠くなる」「休日に好きなことをする気力も出ない」では、困っている内容が異なります。複数の原因が重なっているならば、そのまま書き留めて構いません。

 睡眠についても、「長く寝たから充分休めたはず」、とは限りません。厚生労働省の睡眠に関する情報では、睡眠時間に加え、眠ることで休養が取れた感覚も重視されています。朝目覚めた時にどう感じるかにも目を向けてみましょう。

 一人暮らしでは、体調の変化を周囲に気づいてもらう機会は、ほとんどないはずです。「最近、夕食の準備がつらい」など、自分が困っている場面を言葉にすることが、負担を調整する第一歩になります。

厚生労働省:心の耳  良質な「睡眠」をとる(寝る)

仕事・家事・心配事など、重なっている負担を確認する

 疲れを振り返るときには、仕事の忙しさだけではなくて、帰宅後や休日におこなっていることも含めて考えてみましょう。勤務時間は変わっていなくても、買い物、調理、洗濯、掃除、各種手続きまで続けば、休む時間は後回しになります。

 とくに一人暮らしの男性は、「自分のことは自分でしなければ」と考えて、疲れていても家事を普段どおりにこなそうとするかもしれません。しかし、暮らしを維持するために、毎回すべてを済ませる必要はありません。

 たとえば、帰宅途中に買い物をして、夕食を作り、洗濯まで済ませる日が続いているなら、「今日必要なこと」と、「明日でもよいこと」を分けてみます。

 疲れた日には、購入したおかずを利用して、掃除は気になる場所だけにするなど、作業を減らす選択もできます。また、家計や家族の問題など、頭から離れない心配事も振り返ってみてください。

 ここでの目的は、原因を確定することではなく、今の自分が何を抱えているかを把握することです。一つ減らせる用事があるだけでも、休む時間を確保しやすくなれます。

生活の見直しと医療機関への相談を並行して考える

 生活を見直すことと、医療機関へ相談することは、並行して考えて構いません。「まず生活を完全に整えて、それでも駄目なら受診しよう」、と先延ばし続けることはありません。

 NHSは、原因のわからない疲れが数週間続く場合や、日常生活に影響している場合などに受診を勧めています。これは数週間たつまで待つという意味ではなく、強い症状や悪化した場合には、医師へ早めの相談が必要なのです。

 たとえば、休日を寝て過ごしても買い物にさえ出られず、食事を抜く日が増えているならば、「怠けている」、と自分を責めるよりも、暮らしに支障が出ていることを医師に伝えましょう。

 かかりつけ医がいなければ、身近な内科などに相談する方法もあります。薬を飲み始めてから変化を感じない場合も、自己判断で中止せず、医師や薬剤師に伝えてください。

 相談と同時に家事を減らすなど、今できる調整を進めればよいのです。生活の改善で、必ず疲れが取れると考えず、必要な助けを受けながら体調を確かめていきましょう。

なかやま
なかやま

50代の疲れは、年齢や気合いの問題だけで片づけず、以前との違いと生活への影響を確認することが大切です。仕事や家事の負担を見直しながら、疲れが続く場合や暮らしに支障がある場合には、医療機関への相談も始めるべきです。

疲れが取れないときには、一日の過ごし方を振り返る

 疲れを感じても、「毎日忙しいから」と考えるだけでは、どこを調整すればよいのかが見えにくいものです。

 かといって、生活を細かく記録し、新たな負担を増やす必要もありません。まずは、疲れを感じる時間帯や、以前よりも難しくなったことを短く書き留めてみましょう。

 記録は、自分で病気の原因を突き止めるためのものではありません。暮らしの負担を見直したり、医療機関で困っていることを説明したりするための手がかりになるのです。

 本章では、疲れの現れ方と一日の過ごし方を無理なく記録し、見直すポイントを見つける方法をご紹介します。

疲れ始めた時期と、つらくなる時間帯を記録する

 最初に振り返りたいのは、いつ頃から疲れが気になるようになったかという点です。

 「今月に入ってから」「仕事の担当が変わった頃から」など、おおよその時期で構いません。はっきり思い出せない場合には、「開始時期は不明」としておきましょう。

 次に、一日のどの時間帯につらくなるかを確認します。朝から体が重いのか、午後になると集中しにくいのか、帰宅後に動けなくなるのか。平日と休日で違いがあるかも、気づいた範囲で書いてみてください。

 たとえば、一人暮らしの男性なら、「火曜日、帰宅後に夕食を用意できず、買ってきた弁当を食べて横になった」、という一文でも充分です。

 「疲労度を正確に点数化しなければ」と考えるよりも、実際に起きたことを記録に残すほうが取り組みやすいでしょう。

 ただし、忙しかった日に疲れたとしても、その関係だけで原因は決められません。記録から結論を急がず、体調の変化を伝える材料として扱ってください。つらい日は記録を休んでもよいので、書くことよりも休養や相談を優先すべきです。

睡眠時間だけでなく、起きたときの休養感を確かめる

 睡眠を振り返る際には、寝た時刻と起きた時刻に加え、「起きたときに休めた感じがあったか」、を確認します。厚生労働省の睡眠に関する情報でも、睡眠時間とともに、睡眠による休養感が重視されています。

 たとえば、「布団には7時間横になっていたが、何度も目が覚めた」「休日に長く眠っても、起きた時にだるかった」、といった状態です。

 布団に横になっていたいた時間と、実際に眠っていた時間は同じとは限らないため、わかる範囲で区別すると説明しやすくなります。一人暮らしでは、いびきや眠っている間の様子を人に指摘してもらう機会がないかもしれません。

 わからないことを無理に確認しようとせず、夜中に目が覚める、朝目覚めて頭や身体が重い、日中に眠気が強まるなど、自分自身で気づいたことを記録してください。

 ここでは、睡眠を改善する方法を次々と追加するよりも、現在の眠りがどうなっているかを把握することを優先します。

 眠る時間を確保しても休養感が乏しい状態や、日中の眠気で生活に支障が出る状態が続くならば、医療機関で相談する材料になるのです。

食事・飲酒・服薬と、最近の生活の変化を整理する

 疲れが続くときには、食事や飲酒、服薬についても、最近変わった点がないかを振り返ってみましょう。

 毎食の栄養計算までは必要ありませんが、「夕食を抜く日が増えた」「晩酌の量が以前より多くなった」など、変化を簡潔に残します。

 たとえば、帰宅後に調理する気力がなくて、飲み物だけで済ませる日が続いているならば、その事実を書いてください。食事が充分に摂れないことは、暮らしを調整するうえでも、医師に状態を伝えるうえでも大切な情報です。

 服薬については、処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントも含めて整理します。NHS(イギリスの国民保健サービス)は、疲れに関わる要因として一部の治療や薬の影響も挙げています。

 ただし、薬を飲み始めた時期と疲れが重なっても、それだけで薬が原因とは判断できません。気になる変化があれば、お薬手帳や商品の名前を確認して、医師や薬剤師に伝えましょう。

 自己判断で薬を減らしたり、中止したりすることは避けてください。転勤、残業、家族の介護、身近な人との別れなど、生活上の出来事も、話せる範囲で整理しておくと役立ちます。

仕事や家事にどの程度支障が出ているかを書き出す

 疲れの強さをうまく説明できない場合には、「何ができなくなったか」「何に時間がかかるようになったか」、を考えてみましょう。「とても疲れる」、という言葉に具体例を添えると、困っている状況が伝わりやすくなります。

 仕事では、確認作業に時間がかかるようになった、会議の内容を追いにくい、以前よりも休憩が必要になった、といった変化が考えられます。家事では、洗濯物を干せない、買い物に出られない、食器を片づける気力が出ないなどです。

 一人暮らしの場合には、「誰にも迷惑をかけていないから大丈夫」、と判断しないことも大切です。食事や清潔な衣類を確保しにくくなっているなら、自分の生活を守るための調整や相談が必要になります。

 記録は、日付、体調、生活で困ったことの三点程度でも構いません。スマートフォンのメモでも、紙に一行書く方法でも、使いやすいものを選びましょう。医療機関で話す際には、最も困っていることから伝えると整理しやすくなるでしょう。

 なお、記録が揃うまで、受診を待つことはありません。症状が強い、悪化している、生活への支障が大きい場合は、書けた分だけ持って医師へ相談してください。

疲れの記録は、完璧に続けることよりも、体調と暮らしの変化を言葉にするために役立てることが大切です。疲れる時間帯、眠りの状態、食事や服薬の変化、生活で困っていることを短く整理して、負担の調整や医療機関への相談につなげましょう。

 日々の食事や生活習慣を、これからの体力維持につなげたい方は、次の記事も参考にしてください。

 疲れが続いているときは、まず休養や相談を優先し、体調に合わせて取り入れていきましょう。       JT73「50代から始めるフレイル予防|老後も自ら歩いて暮らせるための生活習慣」

仕事と家事の負担を減らし、無理を続けない暮らしに変える

 疲れが取れないとき、「もっと体力をつけなければ」「生活をきちんと整えなければ」と、やるべきことを増やしてしまう場合があります。

 しかし、すでに仕事や家事で余裕がなくなっているならば、まずは負担を減らす方向から考えてみましょう。

 とくに一人暮らしでは、誰かが代わりに家事をしてくれるわけではありません。それでも、作業を後日に回す、方法を簡単にする、必要な部分を人に頼むなど、暮らしを続けるための選択肢はあります。

 本章では、仕事と家事の負担を具体的に見直して、今の体調に合わせて暮らしを調整する方法をご紹介しましょう。

「今日必要なこと」と「後日に回せること」を分ける

 負担を減らす第一歩は、今日の用事をすべて同じ重要度で扱わないことです。食事を確保することや、必要な受診などと、棚の整理や部屋全体の掃除とでは、優先する理由が異なります。

 たとえば、疲れて帰宅した日に、夕食作り、洗濯、掃除を全部済ませようとすると、休む時間が遅くなってしまうのです。

 そこで、「今夜食べるものを用意する」「明日着る衣類を確認する」といった、当面の生活に必要なことから考えてみましょう。

 洗濯は着替えが残っていれば翌日に回し、掃除は汚れた場所だけにするなど、範囲を小さくできます。「始めたから最後まで」と考えず、途中で区切る方法もあります。

 ただし、用事を先送りするだけでは、休日に負担が集中することがあります。後日に回した作業は、本当に必要か、回数を減らせないかも考えてください。毎回丁寧に仕上げるよりも、食事や衛生、安全を守れる方法を優先しましょう。

 体調が悪い日の基準をあらかじめ決めておけば、その都度「やるべきか」、と悩む負担も減らせます。「疲れた日は食事と着替えの確保まで」といった、自分に合う最低限を用意しておくと取り組みやすくなります。

仕事の量・締め切り・担当を具体的に相談する

 仕事の負担は、自分の工夫だけでは減らせない場合があります。担当業務が多い、締め切りが重なる、急な依頼が続くといった状況では、上司などに作業の優先順位や分担を相談することも必要です。

 相談するときには、「疲れているので何とかしてください」だけでなく、困っている場面と調整したい内容を伝えてみましょう。

 たとえば、「最近、夕方になると集中が続かず、確認作業に時間がかかっています。今週の三つの業務について、優先順位と締め切りを相談できますか」、といった伝え方です。

 すべてを減らせなくても、急ぐ仕事を絞る、期限をずらす、確認を分担するなどの対応を検討しやすくなれます。体調については、職場全体に詳しく説明する必要はありません。

 まずは、相談先を選び、業務上の支障と必要な配慮を伝えることから始めてください。職場に産業医や保健師、健康相談窓口がある場合には、利用できるか確認する方法もあります。

 尚、疲れの原因が仕事だったとは断定できないこともあります。負担の相談を進めながら、症状が続く場合には、医療機関への相談も並行して考えましょう。

買い物・調理・洗濯を簡略化して負担を減らす

 家事の簡略化は、暮らしを維持するための工夫です。毎日同じ手間をかけることを目標にせず、今の体調で続けられる方法を選んでみてください。

 たとえば、一人暮らしの男性なら、疲れた日はパックご飯と購入したおかずを組み合わせる、冷凍食品を利用するなど、調理工程を減らせます。

 「自炊できなかったから食事を抜く」、という流れは避けて、食べられるものを確保することを優先しましょう。場合によっては、帰宅途中で簡単に済ませてしまう方法も考えましょう。

 買い物は、必要なものをメモして店内を回る時間を短くしたり、重い日用品だけ配送を利用したりする方法もあります。ただし、まとめ買いで荷物が重くなるならば、量を減らすなど、自分自身の負担に合わせた調整が必要です。

 洗濯では、翌日に必要な衣類から洗う、しわになりにくい衣類を選ぶなど、洗った後の作業も見直せます。掃除も一度に部屋全体を片づけず、通路や調理台など、生活に必要な場所を優先して構いません。

 便利なサービスをすべて利用すると、費用が負担になることもあります。まずは作業の回数や範囲を減らし、それでも難しい部分には費用をかけるなど、家計と体調の両方を見ながら選びましょう。

一人で抱え込まず、人やサービスを頼る

 一人暮らしをしていることと、すべてを一人で解決しなければならないことは、同じではありません。体調が悪いときに連絡できる人や、相談できる窓口を持っておくことも、暮らしを支える準備になります。

 身近な人に頼む場合には、「何かあったら助けて」だけでなく、「通院する日に連絡してもよいか」「重い荷物の移動を手伝ってもらえるか」など、必要なことを具体的に伝えてみましょう。

 相手の都合も確認し、頼める範囲を共有しておくと相談しやすくなれます。近くに頼れる人がいなければ、自治体の生活相談窓口などに、利用できる支援があるか尋ねる方法もあります。

 制度やサービスには、年齢、体調、所得などの利用条件があるため、50代ならば誰でも利用できるとは限りません。

 家事代行や、宅配などの民間サービスも選択肢ですが、料金、対応範囲、解約条件を確認して、必要な部分から検討してください。継続利用だけではなく、一時的に負担を減らす使い方も検討内容に入ります。

 頼ることに抵抗がある場合には、まず相談だけでも構いません。生活が回らなくなるまで我慢せずに、「今、ここが難しい」、と伝えることから始めましょう。

なかやま
なかやま

疲れが続くときには、頑張ることを増やすよりも、仕事や家事の量と進め方を見直してみましょう。今日必要なことを絞り、職場で調整を相談し、家事を簡略化することが、休む時間の確保につながります。一人で難しい部分は、人やサービスを頼る選択も大切にしてください。

 暮らしの負担を減らすときには、人付き合いに使っている時間や気力も振り返ってみましょう。

 断りづらさから無理な付き合いを続けている方は、次の記事も参考にしてください。                    JT67「50代から人間関係を整理してもよい?無理な付き合いを手放すための判断基準」

休むことを後回しにしない、日常と休日の過ごし方

 「仕事も家事も終わったら休もう」、と考えていると、休む時間が一日の最後に追いやられてしまいます。用事が次々に増えれば、疲れていても区切りがつかずに、寝る直前まで動き続けることもあるでしょう。

 休養の時間を確保するには、空いた時間を探すだけではなく、予定の組み方そのものを見直すことが大切です。

 体調に合わせて作業を区切り、休日にも余白を残すなど、無理なく続けられる過ごし方を考えてみましょう。

 本章では、日常と休日に休む時間を確保し、体調を見ながら予定や活動を調整する考え方をご紹介します。

限界まで頑張る前に、作業の区切りで休む

 休むタイミングを、「もう動けないと感じたとき」にしてしまうと、作業を途中で切り上げる判断が難しくなるものです。そこで、仕事や家事を始める前に、事前にどこで区切るかを決めてみましょう。

 たとえば、掃除なら「今日は台所だけ」、書類の整理なら「この一束まで」、と範囲を絞ります。終わったら次の作業へすぐに移らず、座って体調を確かめる時間を取ってください。

 一人暮らしでは、そばで体調を気遣ってアドバイスしてくれる人はいませんので、「せっかく始めたのだから」と、掃除から洗濯、買い物まで続けてしまうことはありませんか?

 しかし、予定した作業が終わっても、余力があるかどうかは別の問題です。次の作業に進む前に、だるさや眠気、集中しにくさが強まっていないかを確認しましょう。

 休憩の長さや間隔に、一律の正解を設ける必要はありません。作業の内容と体調を見ながら調整し、休んでもつらい場合には、その日の予定を減らす判断も大切です。

 職場で自由に休憩を取れない場合には、自己判断だけで対応しようとせず、作業の区切りや交代の方法を上司に相談してください。身体を休める段取りを整えることも、仕事を続けるための準備になります。

帰宅後は予定を詰めず、落ち着く時間をつくる

 帰宅後は、仕事から離れたつもりでも、メールの確認や翌日の準備で気持ちが張りつめたままになってしまっていることもあるはずです。まずは、その帰宅後の時間帯に、何をしているか振り返ってみましょう。

 たとえば、玄関を入るとすぐ洗濯機を回し、夕食を作りながら仕事の連絡を確認しているならば、複数の用事が重なっています。

 疲れが強い日は、食事を簡単に用意できる形にし、急がない家事は後に回すなど、帰宅直後の負担を減らしてみてください。

 落ち着く時間には、静かに座る、音楽を聴く、窓の外を眺めるなど、自分自身が負担なく過ごせる方法を選べます。「有意義に使わなければ」と、学習や趣味の課題を追加することはありません。

 スマートフォンの閲覧も、気分転換になる一方で、気づけば長時間続いている場合もあります。見終わった後に休めた感じがあるか、就寝が遅くなっていないかをとくに確認して、必要ならばタイマーによる通知や、閲覧時間を調整しましょう。

 ただし、連絡をすべて遮断することはありません。一人暮らしの場合には、緊急の連絡を受けられる状態を保ちながら、仕事や不要な通知から離れる工夫を考えてください。

休日に家事と用事を集中させすぎない

 平日にできなかったことを休日にまとめすぎると、休みの日が家事と用事だけで終わってしまう場合があります。「土曜日に全部済ませれば日曜日は休める」と考えても、土曜日の負担が大きすぎないかを確かめる必要もあります。

 たとえば、午前中に洗濯と掃除をし、午後に通院、買い物、役所の手続きを入れる予定なら、移動や待ち時間も含めて見直してみましょう。用事の数だけでなく、外出にかかる時間や持ち帰る荷物も負担になるのです。

 調整するときには、必要な通院などを優先して、急がない部屋の掃除や整理を別の日に回します。買い物も短時間で済む範囲にするなど、休日の一日に、すべてを集中させない方法を考えてください。

 一方、平日に用事を分散することで毎晩忙しくなるなら、分け方を再検討しましょう。予定の移動だけではなく、作業そのものを減らす視点が必要です。

 休日には、何も入れない時間帯も確保しておきます。外出や人との交流も、今の体調で無理なく楽しめる範囲を選びましょう。予定を断る場合には、「今週は体調を優先したいので、別の日にお伺いさせてください」、と伝えて構いません。

休んでも戻らない疲れに、運動や予定を上乗せしない

 疲れが続くと、「体力が落ちたから鍛えなければ」、と考えたことはありませんか?しかし、原因がわからないまま、運動や活動量を増やせばよいことにはなりません。

 休んでも疲れが取れないときには、生活への影響を確認して、医療機関への相談を考えましょう。NHSは、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)では、身体的・精神的な活動の後に、症状が悪化することがあると説明しています。

 ただし、この特徴だけで病名を判断できるわけではなく、ほかの病気との区別を含め、医師による評価が必要です。

 たとえば、短い外出や家事の後に強く疲れて、その日の夜や翌日以降もつらさが増すならば、「慣れるまで頑張ろう」、と活動を上乗せしないでください。何をした後に、どのような変化があったかを、わかる範囲で医師に伝えましょう。

 少し調子がよい日に、遅れていた用事を一気に取り戻そうとする場合も注意が必要です。その日の感覚だけで予定を増やさず、活動後の状態も含めて振り返ってください。

 休むことを選んでも、医師への相談を後回しにすることはありません。自分自身に合う活動の範囲がわからない場合にも、受診時に尋ねてみましょう。

休む時間は、すべての用事が終わるまで待つのではなく、日々の予定に組み込んでおきましょう。作業を区切り、帰宅後と休日に余白をつくることが大切です。休んでも疲れが続く場合や、活動後につらさが増す場合には、無理に予定を増やさず医療機関に相談してください。

疲れを我慢し続けないための受診の目安と相談の準備

 疲れが続いていても、「病院へ行くほどではない」「もう少し休めば体調が戻るだろう」と、医師への相談を先延ばしにしてしまうことがありませんか?

 しかし、生活の見直しだけで解決しようとせず、医療機関に体調を確認してもらうことも大切です。 また、普段から感じている疲れと、急に現れた強い症状は分けて考える必要があるのです。

 一人暮らしでは、体調が悪くなったときには自分自身で連絡することになるので、相談先や伝える情報を準備しておきましょう。

 本章では、医療機関へ相談する目安と緊急時の対応を整理して、受診や一人暮らしの備えに役立つ準備をご紹介します。

原因がわからない疲れが続く、生活に支障が出るときには医師へ相談する

 英国の公的医療機関であるNHSは、原因のわからない疲れが数週間続く場合や、疲れが日常生活に影響している場合などに、医師への相談を勧めています。

 ただし、「数週間は様子を見なければならない」、という意味ではありません。症状が強い、悪化している、食事や仕事などに大きな支障が出ている場合には、期間にかかわらず早めに相談してください。

 たとえば、一人暮らしの男性が、疲れて買い物に行けず、食事を抜く日が増えているなら、暮らしへの影響が出ています。「仕事には行けているから大丈夫」と考えず、帰宅後や休日の状態も含めて伝えましょう。

 かかりつけ医がいる場合には、まずその医療機関に相談できます。かかりつけ医がいない場合には、身近な内科などに症状を伝え、受診について確認する方法もあります。

 相談する段階で、病名を予想することはありません。「いつから疲れているか」「何に困っているか」、を話せれば充分です。生活の改善をすべて試し終えてから受診するのではなく、負担の調整と相談を並行して進めましょう。

体重の変化・動悸・息切れなど、ほかの症状も伝える

 受診時には、疲れだけでなく、同じ頃に気づいた変化も伝えてください。

 たとえば、意図しない体重の減少、動悸、息切れ、発熱、食欲の変化、気分の落ち込みなどです。NHSの情報でも、疲れに体重の減少や気分の変化などが伴う場合は、相談の目安として挙げられています。

 また、疲れと動悸、息切れなどの組み合わせが、病気を検討する手がかりになる場合があります。ただし、症状の組み合わせだけで原因は確定できません。

 伝える際には、「階段を上ったときに以前より息が切れる」「食事量を変えていないのに衣服が緩くなった」など、気づいた場面を説明すると整理しやすくなります。体重を測っていなければ、正確な数字を無理に用意する必要はないのです。

 また、眠りや気分についても、体の症状と一緒に話して構いません。「休日は何もする気になれない」「夜中に何度も目が覚める」、といった変化も、相談する情報になります。

 症状を一つずつ別の問題として片づけず、気づいたことをまとめて伝えましょう。急に強い症状が現れた場合には、次に示す緊急対応を優先してください。

急な呼吸困難や強い胸痛など、緊急の症状を知っておく

 普段の疲れとして様子を見ず、すぐに119番に連絡すべき症状もあります。厚生労働省は、消防庁の資料に基づき、急な息切れや呼吸困難、胸や背中の突然の激痛、意識の異常などを、迷わず119番へ連絡する症状として案内しています。

 こうした症状があるときには、「疲れがたまっただけかもしれない」と判断せず、救急要請を優先してください。一人暮らしでも、まず家族の返事を待ったり、自分で車を運転して病院へ向かったりせずに、119番に症状を伝えましょう。

 通報時は、救急であること、自宅の住所と部屋番号、どのような症状がいつから出ているかを、わかる範囲で伝えます。うまく説明できない場合には、電話口の指令員の質問に答えてください。

 救急車を呼ぶか、すぐ受診するか判断に迷う場合は、実施地域では救急安心センター事業「♯7119」を利用できます。対応する地域や受付時間などを、あらかじめ確認しておきましょう。

 ただし、明らかに緊急の症状があるときには、直接119番へ連絡してください。

厚生労働省:こんな時は迷わず119へ

総務省消防庁:救急車の適時・適切な利用(適正利用)

受診時のメモと、一人暮らしの緊急連絡先を準備する

 受診に備える際には、症状のメモとお薬手帳を用意しておくと、説明に役立ちます。メモには、疲れ始めた時期、つらくなる時間帯、生活への支障、ほかの症状などを、書けた範囲でまとめましょう。

 たとえば、「二週間ほど前から朝からだるい。帰宅後に夕食を用意できない日が増えた。階段で息切れが気になる」、といった短い文章でも構いません。長い記録から、最も困っていることを抜き出しておくと伝えやすくなります。

 薬については、市販薬やサプリメントも含め、名前がわかるものを整理してください。説明しにくい場合は、包装や商品名の写真を用意する方法もあります。準備が揃わなくても、必要な受診を遅らせないことが大切です。

 一人暮らしの備えとしては、緊急時に連絡できる家族や知人に、連絡先として登録してよいか確認しておきましょう。近くに住んでいなくても、体調が悪いときに状況を共有できる相手がいると、相談しやすくなれます。

 自宅の住所、建物名、部屋番号も、携帯電話や紙にまとめておくと、通報時に確認できます。こうした準備は、一度に完成させる必要はありません。まずは連絡先と住所を確認するところから始めてみましょう。

なかやま
なかやま

疲れが続く場合や、生活に支障が出ている場合には、我慢せず医療機関に相談しましょう。ほかの症状も伝え、急な呼吸困難や胸・背中の激痛などには119番で対応してください。症状のメモと連絡先を準備して、必要なときに医療へつながれることも、体調管理の一部です。

まとめ 50代の体調管理は、疲れに気づき、暮らしの負担を調整することから

 50代になって疲れが取れないと感じると、「年齢のせいだから仕方がない」「もっと体力をつけなければ」、と考えてしまうこともあるでしょう。

 しかし、疲れには、生活上の負担や休養の不足だけではなく、病気や薬の影響などが関わる場合もあります。原因を一つに決めつけず、今の状態を確かめることが大切になります。

 まず目を向けたいのは、若い頃と比べてどれだけ頑張れるかではなく、最近の暮らしにどのような変化が出ているかです。

 朝から体が重い、帰宅後に食事を用意できない、休日も買い物に出る気力が出ない。こうした具体的な場面を振り返ることで、困っていることを説明しやすくなれます。

 記録は、短いメモで構いません。疲れ始めた時期、つらくなる時間帯、眠りから覚めた時の感覚、仕事や家事への影響などを、わかる範囲で残してください。原因を自己診断するためではなく、負担の調整や受診時の説明に役立てましょう。

 この記事でお伝えしましたポイントは、次の7つです。

  • 疲れを年齢や気合いの問題だけで片づけず、以前との違いに目を向ける。
  • 疲れ始めた時期と、仕事・食事・家事などへの影響を短く記録する。
  • 睡眠時間だけではなく、朝目覚めた時に休めた感覚があるかも確かめる。
  • 仕事の量や締め切り、担当量について、困っている場面を具体的に相談する。
  • 家事の回数や範囲を減らし、一人では難しい部分は人やサービスを頼る。
  • 休む時間を予定に組み込み、活動後の体調も見ながら予定を調整する。
  • 疲れが続く場合や、生活に支障がある場合には受診し、緊急の症状には速やかに対応する。

 とくに一人暮らしでは、疲れていても生活上の用事がなくなるわけではありません。食事、洗濯、掃除、買い物をすべて自分でおこなうからこそ、体調が悪い日のやり方を用意しておくことは役立ちます。

 たとえば、夕食を作れないほど疲れている日には、帰宅途中で食事を済ませるか、購入したおかずを利用して、掃除は生活に必要な場所だけにする。洗濯は着替えの残りを確認して入眠する。

 こうした調整をしても構いません。食事や衛生、安全を守りながら、今の体調で続けられる方法を選びましょう。

 仕事でも、「忙しいのは皆同じだから」、と相談をためらわず、実際に困っていることを伝えてください。確認作業に時間がかかってしまう、夕方に集中しにくいなど、具体的な場面を共有すれば、優先順位や分担を検討するきっかけになります。

 休養については、用事が全部終わった後に休もうとするだけでは、時間を確保しにくくなります。作業の区切りで休み、帰宅後や休日には予定を入れない時間を残しておきましょう。

 少し調子がよい日は、遅れていた家事を一気に取り戻そうとせず、活動後の状態も確かめてください。ただし、負担を減らしたり休んだりしても、疲れが必ず解消するとは限りません。

 原因がわからない疲れが続く場合や、日常生活に影響している場合には、医療機関への相談を考えましょう。症状が強い、悪化している場合は、記録や生活改善の結果を待たず、早めに医療機関を受診してください。

 急な呼吸困難、胸や背中の突然の激痛、意識の異常などがある場合には、普段の疲れとして様子を見ず、119番に連絡することが必要です。一人暮らしの方は、自宅住所や部屋番号、緊急連絡先を確認しておくことも備えになります。

 これからの体調管理は、以前と同じ量をこなすことだけを目標にせず、暮らしを無理なく続けられる形へ整えていきましょう。休む、減らす、相談するという選択を、自分の生活の中で使ってよいのです。

 今日の体調を確かめ、急がない用事を一つ減らす。困っていることを一行書き、必要なら相談先へ連絡する。その小さな行動から、自分自身の体調を大切にする暮らしを始めてみてください。

 体調の変化に合わせて暮らしを整えるには、住まいの見直しも大切です。段差や階段、買い物・通院、住居費などの点検については、こちらの記事で紹介しています。                           JT75 老後は今の家に住み続けられる?50代から考えたい住まいの点検項目

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 私自身も、転職や起業、失敗や挑戦を繰り返しながら、人生の後半を少しずつ整えてきました。このサイトでは、その経験や学びをもとに、人生の後半を穏やかに充実させるヒントを発信しています。

この記事を書いた人

中山眞治

人生の後半を整えるアドバイザー

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