こんにちは。人生の後半を穏やかに整えるヒントを発信している、中山眞治です。

筆者近影 作品「月のあかりに濡れる夜Ⅳ」と共に
さて、親の介護施設への入所が無事に終わると、多くの家族はひとまず安心します。しかし実際には、施設へ入れられたら介護がすべて終わるわけではありません。
面会の仕方、施設との連絡、お金の管理、医療対応の判断など、家族だからこそ担う役割が残っています。
一方で、「どこまで関わればよいのか分からない」「頻繁に面会へ行かなければいけないのだろうか」、と悩む人も少なくありません。
私自身、介護について学び続ける中で、施設職員の方々から多くの話を聞く機会がありました。その中で感じるのは、家族と施設が良い関係を築けるかどうかで、本人の生活の質も大きく変わるということです。
この記事では、親が介護施設へ入った後に家族がやるべきことを、面会・お金・連絡という3つの視点を中心に解説します。
それでは、早速見ていきましょう!
介護施設に入れられたら家族の役割は終わるのか?

親が介護施設へ入所すると、多くの家族はひとまず安心します。これまで、自宅での介護に追われていた人であれば、「ようやく少し休める」と感じるのも自然なことです。
実際、食事や入浴、排せつ介助などの日常生活の支援は、施設職員が担当してくれます。そのため、家族の身体的な負担は大きく軽減されるでしょう。
しかし、施設へ入れられたからといって、家族の役割が完全になくなるわけではありません。むしろ、介護の形が変わるだけであり、家族だからこそできる支援はこれからも続いていくのです。
私自身、介護について学び続ける中で、施設職員の方々の話を聞く機会がありますが、「家族との関わりがある利用者さんほど表情が明るい」、という声を耳にすることがあります。
本章では、介護施設と家族は、それぞれ異なる役割を持ちながら、本人を支えるチームとも言える存在である点について解説しましょう。
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施設は介護を代行する場所ではない
介護施設は、介護や生活支援を専門職が行う場所です。
食事介助や入浴介助、服薬管理など、多くの部分を職員が担ってくれるため、家族の負担は大きく軽減されます。しかし、それは「家族の代わりになる」、という意味ではありません。
たとえば、利用者本人のこれまでの人生や価値観、好きだったことや苦手なことなどは、家族が最もよく知っています。職員は、日々の様子を観察できますが、長年積み重ねてきた人生の背景までは分からないのです。
だからこそ、
- どんな性格なのか
- 何を大切にして生きてきたのか
- どんな言葉に安心するのか
といった情報は、施設ケアの質を高める大切な手掛かりになります。施設は介護を支える専門家であり、家族は本人の人生を知る専門家とも言えるでしょう。
家族とのつながりが安心感を生む
高齢になると、住み慣れた自宅を離れること自体が、大きな環境の変化になります。とくに認知症がある場合には、「ここはどこだろう」「家に帰りたい」、という不安を抱くことも珍しくありません。
そんなとき、家族の顔や声は大きな安心材料になります。認知症が進行していても、家族の存在そのものを感じ取っている方は少なくないのです。
面会に来た家族の姿を見て、笑顔になる人もいれば、帰った後に落ち着いた様子になる人もいます。もちろん、毎日のように通う必要はありません。
大切なのは、家族とのつながりが続いていると、本人が感じられることです。施設生活に安心してなじんでいくためにも、家族の存在は大きな支えになります。
本人の変化に気付けるのは家族
施設職員は、日々利用者を見守っていますが、長い年月を一緒に過ごしてきた家族だからこそ気付ける変化もあります。
たとえば、
- 表情が以前より暗くなった
- 会話が少なくなった
- 食欲が落ちているように感じる
- 元気がなく見える
といった変化です。
毎日接している職員には、気付きにくい小さな変化でも、久しぶりに会う家族には分かることがあります。
逆に、「最近よく笑うようになった」「以前より穏やかになった」、という良い変化に気付くこともあるでしょう。
面会時に感じたことは、遠慮せず職員へ伝えることが大切です。家族からの情報が、ケアの改善につながることも少なくありません。
施設と家族は協力関係
施設へ入所すると、「お任せしているのだから口を出してはいけない」、と考える家族もいます。一方で、「お金を払っているのだから全部やってほしい」、という考え方になる人もいます。
しかし、どちらも極端かもしれません。介護施設と家族は、対立する関係ではなく、本人を支える協力者同士です。
日頃から、
- 気になることは相談する
- 分からないことは質問する
- 良い対応には感謝を伝える
といった関係づくりを意識すると、施設とのコミュニケーションも円滑になります。
私自身、介護について学び続ける中で感じるのは、家族と施設の信頼関係ができているほど、本人にとっても安心できる環境が整いやすいということです。

施設入所は、介護の終わりではありません。家族と施設が、それぞれの役割を理解しながら協力していくことで、親の本人らしい生活を支える大切な第一歩になります。
面会はどのくらい行けばよいのか?

親が介護施設へ入所した後、多くの家族が悩むのが、「どのくらい面会へ行けばよいのだろうか」という問題です。
仕事や家庭の都合もあり、頻繁に通うことが難しい人も少なくありません。一方で、「面会に行けていない自分は親不孝なのではないか」、と罪悪感を抱く人もいます。
しかし、面会には絶対的な正解はありません。大切なのは回数そのものではなく、本人とのつながりを維持しながら、家族自身も無理をしないことです。
本章では、親の介護施設入所後の面会について考えてみましょう。
面会回数に正解はない
施設へ入った親に対して、「毎週行かなければいけない」「月に何回が理想なのだろう」、と考える家族は多いものです。
しかし、面会の頻度に決まった正解はありません。自宅から施設までの距離や家族の仕事、健康状態など、それぞれ事情は異なります。
実際には、
- 毎週面会する家族
- 月に1~2回訪問する家族
- 遠方のため数か月に一度しか会えない家族
などさまざまです。
重要なのは、面会回数の多さを意識することではありません。無理をして頻繁に通い続けると、家族自身が疲れてしまい、結果として長く続かなくなる場合があります。
介護は長期戦です。面会もまた、「続けられる形」を考えることが大切なのです。
短時間でも継続が大切
面会というと、長時間一緒に過ごさなければならないと思う人もいます。しかし実際には、30分程度の短い面会でも充分意味があります。
施設職員の話を聞いていると、利用者の方は「長く会えたかどうか」よりも、「会いに来てくれた」という事実を喜ばれることが多いようです。
たとえば、
- 近況を少し話す
- 一緒にお茶を飲む
- 写真を見ながら思い出話をする
それだけでも、本人にとっては大切な時間になります。
とくに、認知症がある場合には、面会後の会話内容を忘れてしまうこともあります。それでも、「誰かが会いに来てくれた」「うれしかった」、という感情は残ることがあるのです。
だからこそ、長時間よりも継続的な関わりのほうが大切だと言えるでしょう。
認知症の方への面会のコツ
認知症の親に面会すると、「私のことが分かっていないようだ」「会話が成り立たない」、と落ち込む家族もいます。
しかし、認知症の方との面会では、会話の内容だけを重視する必要はありません。大切なのは安心感を与えることです。
たとえば、
- ゆっくり話す
- 笑顔で接する
- 昔の思い出話をする
- 否定や訂正をしない
といった対応に効果があります。
また、「覚えている?」「誰だか分かる?」という質問は、本人を不安にさせてしまうことがあります。認知症の方との面会は、正しい答えを求める時間ではありません。
安心して穏やかに過ごしてもらう時間だと考えると、家族の気持ちも楽になります。
面会時に確認したいポイント
面会は、単に顔を見に行くだけではありません。家族だからこそ気付ける変化を確認する機会でもあります。
たとえば、
- 表情が暗くなっていないか
- 食欲は落ちていないか
- 衣類や身だしなみは整っているか
- 居室は快適な状態か
- 職員との関係は良好そうか
といった点です。
もちろん、気になることがあったからといって、すぐに問題があるとは限りません。しかし、小さな違和感を施設へ相談することで、早めの対応につながることもあります。
また、良い変化が見られた場合にも、「おかげさまで、最近とても表情が良くなりました」と職員へ伝えることで、施設との良好な関係づくりにもつながるのです。
面会は本人のためだけでなく、家族と施設が情報を共有する大切な機会でもあるのです。介護施設へ入所した後も、親との関係は終わりません。
お金の管理で家族が気を付けること

介護施設へ入所すると、家族の介護負担は軽くなります。しかしその一方で、新たに発生するのがお金の管理です。施設利用料は毎月発生しますし、医療費や薬代、日用品代なども継続的に必要になります。
また、入所期間が長くなるほど、「このままの資金で大丈夫だろうか」、という不安を感じる家族も少なくありません。
親が安心して施設生活を続けるためにも、家族がお金の流れを把握しておくことはとても重要です。
本章では、施設入所後に家族が気を付けたい、お金の管理について見ていきましょう。
毎月発生する費用を把握する
介護施設へ入所すると、毎月決まった費用が発生します。
たとえば、
- 居住費
- 食費
- 介護サービス費
- 管理費
- 日用品費
などです。
契約時に説明を受けていても、実際に生活が始まると、想定以上の出費が発生することがあります。とくに注意したいのは、介護保険サービスの自己負担額ではないでしょうか。
要介護度が上がると、利用できるサービスも増えますが、その分自己負担額も変化します。また、施設によっては、理美容代やレクリエーション費用などが別途必要になることもあります。
まずは、毎月どのような費用が発生しているのかを一覧表にして、家族全体で把握しておくことが大切です。
医療費や薬代も確認する
施設へ入所すると、医療に関する支出が見えにくくなることがあります。
しかし、高齢になるほど、
- 定期受診
- 往診
- 検査
- 入院
- 処方薬
などの費用が発生しやすくなるのです。
とくに、持病がある場合には、医療費が想像以上にかかることもあります。また、体調の変化によって薬の種類が増えることも珍しくありません。
施設から請求される利用料だけを見ていると、実際の介護関連支出を正確に把握できなくなってしまいます。
そのため、
- 施設費用
- 医療費
- 薬代
を分けて管理する習慣を付けておくと安心であり、将来的な支出の見通しも立てやすくなるでしょう。
通帳管理と代理手続き
施設入所後、多くの家族が直面するのが親のお金の管理になります。
たとえば、
- 施設利用料の引き落とし
- 医療費の支払い
- 各種手続き
などで、通帳や印鑑を扱う機会が増えるのです。
ところが、認知症が進行すると、本人による管理が難しくなる場合があります。その結果、「どこに通帳があるか分からない」「暗証番号が分からない」「手続きができない」、という問題が起きることもあります。
そのため、できれば親が元気なうちから、
- 通帳の保管場所
- 金融機関
- 年金の振込口座
- 公共料金の支払い状況
などを整理しておくことが理想です。
また、状況によっては、任意後見制度や家族信託などを検討しておく場面もあります。早めの準備が、将来の家族の負担を減らすことにつながります。
将来の資金不足に備える
介護施設への入所は、数か月で終わる場合もあれば、何年も続く場合もあります。そのため、「今は支払えているから大丈夫」、と考えるだけでは不充分なことがあります。
たとえば、
- 預貯金はどのくらい残っているのか
- 今後何年間支払いを続けられるのか
- 施設費用が上がった場合に対応できるのか
といった視点も必要です。
私自身、ファイナンシャル・プランナー(AFP)として、家計やライフプランについて学んできましたが、介護費用は予想以上に長期化することがあります。
だからこそ、「今月払えるか」だけではなく、「5年後、10年後まで見通せるか」という視点を持つことが大切です。もし費用面に不安がある場合には、公的支援制度の活用も検討しましょう。
高額介護サービス費制度や負担限度額認定制度など、負担を軽減できる仕組みもあります。
介護施設の費用負担について詳しく知りたい方は、 JT17「介護施設の費用が払えない?知っておきたい公的支援制度と負担を減らす方法!」も併せてご覧ください。
介護施設へ入所した後も、お金の管理は家族にとって重要な役割の一つです。

毎月の支出を把握し、将来の見通しを立てながら準備しておくことで、親も家族も安心して施設生活を続けやすくなるでしょう。
施設との連絡をスムーズにする方法

介護施設へ入所した後に、家族と施設との連絡は思っている以上に重要になります。日常の様子を共有するだけでなく、体調の変化や医療対応、緊急時の判断など、家族の意向が求められる場面も少なくありません。
そのため、入所後は「施設に任せる」のではなく、「施設と協力する」という意識を持つことが大切です。
連絡体制が整っている家族ほど、トラブルを防ぎやすく、本人にとっても安心できる環境をつくることができます。
本章では、施設との連絡を円滑に進めるためのポイントを見ていきましょう。
緊急連絡先を整理する
介護施設では、利用者の体調の変化や事故などが発生した場合に、家族へ連絡が入ります。
たとえば、
- 発熱
- 転倒
- 救急搬送
- 入院
などです。
その際に、「電話がつながらない」「誰に連絡すればよいか分からない」という状況になると、対応が遅れてしまうことがあります。
そのため、
- 第一連絡先
- 第二連絡先
- 緊急時の連絡順
を家族内で明確にしておくことが大切です。
また、携帯電話番号が変わった場合などは、速やかに施設へ伝えるようにしましょう。些細なことのようですが、いざという時の安心感は大きく違います。
家族の代表を決める
兄弟姉妹が複数いる場合に起こりやすいのが、施設との連絡窓口が曖昧になることです。
たとえば、
- 長男にも連絡
- 長女にも連絡
- 次男にも連絡
という状態になると、施設側も混乱しやすくなります。
さらに家族の意見が食い違うと、「誰の意見を優先すればよいのか」という問題も生じます。そこでおすすめなのが、家族の代表を決めておくことです。施設との連絡は原則として一人が窓口となり、その内容を他の家族へ共有する形が理想的です。
もちろん、重要な判断は家族全員で話し合うべきですが、日常的な連絡窓口は一本化しておく方がスムーズです。施設職員にとっても対応しやすくなり、結果的に本人への支援にも良い影響を与えられます。
医療判断が必要になる場面
介護施設で生活していると、体調の変化によって家族の判断が求められる場面があります。
たとえば、
- 入院するかどうか
- 検査を受けるかどうか
- 延命治療を希望するかどうか
などです。
とくに親が高齢になると、突然こうした判断を迫られることがあります。しかし、その場になって初めて家族が話し合うと、「どうしたらいいか分からない」「兄弟で意見が違う」、という状況になりやすくなります。
そのため、親が元気なうちから、
- 治療に対する考え方
- 延命治療の希望
- 最期をどこで迎えたいか
などについて、話し合っておくことが大切です。
本人の意思が分かっていれば、家族も判断しやすくなれます。また、施設側も家族の意向を理解しながら支援を行いやすくなるでしょう。
兄弟姉妹との情報共有
介護施設への入所後、家族間のトラブルの原因になりやすいのが、情報格差になります。
たとえば、
- 面会に行く人だけが状況を知っている
- 一人だけが施設と連絡を取っている
- 他の兄弟姉妹が何も知らない
という状態になると、不満や誤解が生まれやすくなります。とくに、介護費用や医療判断が関わる場面では、「聞いていない」「勝手に決められた」、という感情が家族関係を悪化させることもあるのです。
そのため、
- LINEグループ
- メール
- 家族会議
などを活用しながら、定期的に情報共有することをおすすめします。
私自身、介護について学び続ける中で感じるのは、介護そのものよりも家族間のコミュニケーション不足が、問題を大きくするケースが少なくないということです。
兄弟姉妹の介護負担や、家族トラブルについて詳しく知りたい方は、 JT20「兄弟姉妹で介護の負担が偏るときは?家族トラブルを防ぐ話し合いのコツ」も参考にしてみてください。
介護施設との連絡は、単なる事務的なやり取りではありません。家族と施設が情報を共有しながら協力していくことで、本人にとってより安心できる生活環境が整っていきます。
入所後に起こりやすい家族の後悔とは?

親が介護施設へ入所すると、家族はこれまでの介護負担から解放される一方で、新たな気持ちの変化を経験することがあります。
入所直後は安心していても、時間が経つにつれて、「もっとこうしておけば良かった」「あの時別の選択があったのではないか」、と後悔の気持ちが湧いてくることもあるのです。
もちろん、すべてを完璧に行うことはできません。しかし、多くの家族がどのような場面で後悔しやすいのかを知っておくことで、今後の関わり方のヒントが見えてきます。
本章では、施設入所後によく聞かれる家族の後悔について考えてみましょう。
面会を後回しにしてしまった
施設へ入所した直後は、「これで安心だ」「少し落ち着いたら会いに行こう」、と考える家族も多いようです。
しかし、仕事や家庭の用事に追われているうちに、気付けば数か月が経っていたということもあります。もちろん、面会の回数が少ないこと自体が悪いわけではありません。
問題は、「もっと会いに行けば良かった」という後悔が残ることです。とくに、高齢者の心身の状態は、予想以上に変化が早い場合があります。
久しぶりに会った時に、「こんなに弱っていたのか」と驚く家族も少なくありません。だからこそ、頻繁でなくても構いません。自分が無理なく続けられる範囲で、定期的に顔を見せることが大切です。
後悔しないためには、面会を特別なイベントではなく、日常の習慣として考えることが役立つでしょう。
本人の希望を充分に聞かなかった
施設入所を決める時に、多くの場合は家族が中心となって話を進めます。
しかしその過程で、
- 本人はどう思っているのか
- どのような暮らしを望んでいるのか
- 何を大切にしたいのか
という視点が充分でなかったと、後から感じる人もいるのです。
たとえば、「もっと本人の希望を聞いておけば良かった」という声は少なくありません。もちろん認知症が進行している場合など、本人の意思確認が難しいケースもあります。
それでも、
- 好きなこと
- 嫌いなこと
- 慣れ親しんだ生活習慣
などを家族が理解しておくことは大切です。
施設入所後も、本人らしさを大切にする関わりは続けられます。過去を知る家族だからこそできる支援もあります。
施設任せにしてしまった
施設へ入所すると、「専門職がいるから大丈夫」という安心感があります。実際、それは間違いではありません。
介護施設には、介護や医療の専門職がおり、日々利用者を支えています。しかし一方で、「全部任せきりにしてしまった」、という後悔を抱く家族もいるのです。
施設生活が長くなるほど、
- 最近どんな様子なのか
- 何を楽しみにしているのか
- 困っていることはないのか
といったことに関心を持たなくなってしまう場合があります。
もちろん家族にも生活があります。常に介護のことだけを考える必要はありません。ただ、本人の生活に関心を持ち続けることは、家族にしかできない大切な役割です。
施設と家族が協力しながら本人を支えるという意識を持つことで、後悔を減らしやすくなるでしょう。
家族自身が疲れてしまった
意外に多いのが、親ではなく家族自身が疲れ切ってしまうケースです。
施設へ入所した後も、
- 毎日のように面会へ行く
- すべての対応を一人で抱え込む
- 兄弟姉妹に頼れない
- 常に罪悪感を抱く
という状態が続くことがあります。
すると心身の疲労が蓄積し、「施設へ入れられたのに苦しい」「気持ちが休まらない」、という状況になることもあります。私自身、介護について学び続ける中で感じるのは、家族が倒れてしまっては元も子もないということです。
親を大切に思う気持ちはとても重要ですが、家族自身の生活や健康も同じように大切です。介護は完璧を目指すものではありません。できる範囲で関わり続けることが何より大切になります。
介護によるストレスや心の負担について詳しく知りたい方は、 JT19「親の介護で疲れたと感じたら|介護うつ・介護ストレスを防ぐための心の整え方」もぜひ参考にしてください。
施設入所後の後悔は、多くの場合「もっとこうしておけば良かった」という思いから生まれます。

だからこそ大切なのは、完璧を目指すことではなく、その時々でできる最善を積み重ねていくことではないでしょうか。
介護を学び続ける中で感じる「家族にしかできないこと」

介護施設へ入所すると、介護の専門職が生活を支えてくれます。そのため、「もう家族の役割は終わったのではないか」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、介護について学び続ける中で、筆者の私が感じるのは、どれだけ優れた介護サービスがあっても、家族にしか果たせない役割があるということです。
介護施設は、生活を支える場所であり、家族は人生を支える存在とも言えるでしょう。
本章では、私が学びを通じて感じている、「家族にしかできないこと」についてお伝えします。
家族の一言が本人の力になる
介護施設では、多くの職員が利用者を支えています。しかし、家族の言葉には特別な力があります。たとえば、「元気そうで安心したよ」「また来るね」「ありがとう」といった何気ない一言です。
家族にとっては当たり前の言葉でも、本人にとっては大きな励ましになることがあります。
高齢になると、
- 自分は迷惑をかけているのではないか
- 家族に申し訳ない
と感じる方も少なくありません。
そんな時に、家族からの温かい言葉を聞くことで、安心した表情になることがあります。介護は、身体を支えるだけではありません。心を支えることもまた、大切な介護なのだと思います。
過去を知る人は家族だけ
施設職員は、利用者の日々の様子を把握しています。しかし、その人がどのような人生を歩んできたかまでは分かりません。
たとえば、
- 若い頃の仕事
- 子育ての思い出
- 趣味や生きがい
- 大切にしてきた価値観
などです。
こうした人生の背景を知っているのは家族です。認知症が進行して会話が難しくなったとしても、その人の人生そのものが失われるわけではありません。
家族が思い出を語ることで、「昔はこういう人だったんですよ」という情報が、施設職員の理解を深めることもあります。介護施設での生活を、その人らしいものにしていくためにも、家族の存在は欠かせないのです。
人生の物語をつなぐ存在
介護施設で暮らすようになると、どうしても「今の状態」に目が向きがちです。しかし、その人には長い人生があります。
学生時代があり、仕事をし、家庭を築き、多くの経験を積み重ねてきました。家族は、その人生を知る証人でもあるのです。
面会の際には、
- 昔の写真を持って行く
- 思い出話をする
- 家族の近況を伝える
それだけでも、本人の表情が柔らかくなることがあります。
過去と現在をつなぎ、これまで歩んできた人生を大切にすること。それは家族だからこそできる支援ではないでしょうか。
私は終活や介護について学ぶ中で、人生の最終章において最も大切なのは、その人らしさを失わないことだと感じています。
完璧を目指さなくてよい
ここまで読んでくださって、「もっと面会に行かなければ」「もっと頑張らなければ」と感じた方もいるかもしれません。しかし、家族が完璧である必要はありません。
介護施設へ入所した後も、
- 仕事
- 子育て
- 自分自身の健康
など、それぞれの生活があります。
親を大切に思う気持ちがあっても、すべてを背負うことはできません。大切なのは、「できる範囲で関わり続けること」です。月に一度の面会でも構いません。電話一本でも構いません。
短い時間でも、「気に掛けているよ」という気持ちはきっと伝わります。私自身、介護や終活について学び続ける中で感じるのは、家族が無理をして共倒れになることを親は望んでいないということです。
親を思う気持ちと、自分自身の生活を大切にすること。その両方を大事にしながら関わり続けることが、長い介護との付き合い方なのではないでしょうか。
介護施設への入所は、親との関係が終わることではありません。形は変わっても、家族としてのつながりは続いていくのです。
介護は長く続くことがあります。
だからこそ、介護だけに人生のすべてを費やすのではなく、自分自身の楽しみや生きがいを持ち続けることも大切です。
私自身は、鉛筆画やデッサンに取り組む時間が、心を整える大切な時間になっています。人生をより豊かにする趣味や創作活動については、 LS300「なぜ鉛筆画を描くと人生が豊かになるのか?上達だけではない7つの魅力!」でも詳しくご紹介しています。
施設へ入所した後の家族の関わり方は、看取りの時期にも大きく影響します。詳しくは、 JT25「親の介護施設で看取りはできる?家族が知っておきたい最期の迎え方と準備」をご覧ください。
まとめ

親が介護施設へ入所すると、多くの家族は「これでひと安心」と感じます。実際、自宅で介護を続けていた頃に比べると、身体的な負担は大きく軽減されるでしょう。
しかし、施設入所は介護の終わりではありません。介護の形が変わり、家族の役割も変化するだけです。施設では専門職が日常生活を支えてくれますが、家族にしかできないことも数多く残されています。
たとえば、
- 面会を通じて安心感を与えること
- 本人の変化に気付くこと
- お金の管理を行うこと
- 施設と情報共有すること
- 人生の歩みや価値観を伝えること
などです。
とくに面会については、「どのくらい行けばよいのか」と悩む方も多いですが、回数に正解はありません。大切なのは、無理のない範囲で関わり続けることです。また、施設入所後は、介護費用や医療費の管理も重要になります。
将来の資金計画が気になる方は、 JT17「介護施設の費用が払えない?知っておきたい公的支援制度と負担を減らす方法!」も参考にしてみてください(URLは先述時に貼ってあります)。
さらに、兄弟姉妹との情報共有や役割分担も欠かせません。一人だけに負担が集中すると、家族関係にひびが入ることもあります。
家族間のトラブルを防ぐためには、 JT20「兄弟姉妹で介護の負担が偏るときは?家族トラブルを防ぐ話し合いのコツ」も役立つでしょう(URLは先述時に貼ってあります)。
そして忘れてはいけないのが、介護する家族自身の健康です。親を大切に思うあまり、自分を追い込んでしまう人も少なくありません。
介護によるストレスや心の負担を感じている方は、 JT19「親の介護で疲れたと感じたら|介護うつ・介護ストレスを防ぐための心の整え方」もぜひご覧ください(URLは先述時に貼ってあります)。
そして、これから施設選びや入所手続きを進める方は、 JT21「親が施設に入るとき家族は何を決める?後悔しない施設選びのポイント!」を参考になるはずです。
また、介護施設入所前から入所後までの流れを体系的に理解したい方は、 JT22「親が介護施設へ入るときの手続き完全ガイド|入所準備・必要書類・家族の役割」も併せて読むことで準備を整えられます。
私自身、介護や終活について学び続ける中で感じるのは、介護施設へ入った後も家族の存在は決して小さくならないということです。
施設は生活を支える場所ですが、人生そのものを支えるのは家族とのつながりです。だからこそ完璧を目指す必要はありません。
毎週面会できなくても構いません。できる範囲で関わり続けること。それが親にとっても家族にとっても、無理のない介護との向き合い方ではないでしょうか。
介護施設への入所は、ゴールではなく、新しい関わり方のスタートです。家族と施設が協力しながら、本人らしい毎日を支えていきましょう。
親の介護や将来の不安を、一人で抱えていませんか?
介護・終活・お金・住まいのことなど、人生の後半には早めに考えておきたい準備があります。
メール講座では、家族が慌てないための考え方や実務のポイントを分かりやすくお届けしています。
私自身も、起業や転職、失敗や挑戦を繰り返しながら、人生の後半を少しずつ整えてきました。このサイトでは、その経験や学びをもとに、人生の後半を穏やかに充実させるヒントを発信しています。
この記事を書いた人
中山眞治
人生の後半を整えるアドバイザー
ファイナンシャル・プランナー(AFP)・終活カウンセラーなどの資格と人生経験をもとに、 40代以降の人生を「整えながら生きる」ための情報を発信しています。
プロフィールはこちら人生の後半とは、遅すぎるのではなく、これからの人生を整えていける時間がまだ充分にあります。あなたらしい歩み方を見つけるヒントになれば幸いです。

