こんにちは。人生の後半を穏やかに整えるヒントを発信している、中山眞治です。

筆者近影 作品「月のあかりに濡れる夜Ⅳ」と共に
親の介護施設への入所を考え始めると、多くの人が直面するのがお金の問題ではないでしょうか。
「特別養護老人ホームに入りたいけれど空きがない」、「有料老人ホームは高額で不安」、「このまま何年も支払い続けられるだろうか」。そんな悩みを抱える家族は少なくありません。
しかし、介護保険制度には、介護費用の負担を軽減するための、さまざまな公的支援制度が用意されています。
高額介護サービス費制度や負担限度額認定、介護保険料の減免制度などを活用することで、思っている以上に負担を抑えられるケースもあるのです。
この記事では、介護施設の費用に不安を感じている人に向けて、知っておきたい公的支援制度と、家計負担を減らすための考え方をわかりやすく解説します。
それでは、早速見ていきましょう!
なぜ介護施設の費用が大きな不安になるのか

親の介護施設への入所を考え始めると、多くの家族が最初に直面するのがお金の問題です。
介護が必要になれば、施設を利用すればよいと考えていても、実際に費用を調べてみると予想以上に高額で驚く人も少なくありません。
とくに、近年は高齢化が進み、介護施設への入所希望者が増えています。そのため、費用だけではなく、「希望してもすぐに入れない」という問題も重なり、多くの家族が不安を抱えています。
本章では、まずは、なぜ介護施設の費用が大きな不安につながるのかを整理しましょう。
特別養護老人ホームにすぐ入れない現実
介護施設の中でも、比較的費用を抑えて利用できるのが、特別養護老人ホーム(特養)です。そのため、多くの家庭が第一希望として特養を検討します。
しかし現実には、
- 入所待機者が多い
- 地域によっては数年待ちになる
- 要介護度によって優先順位が変わる
などの事情があるのです。
その結果、「特養へ入りたいが空きがない」という状況に直面することになります。その間は、在宅介護を続けたり、民間施設を利用したりする必要があり、家族の負担が大きくなることも少なくありません。
民間施設は費用負担が大きい
特養へすぐに入れない場合には、有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅を検討することになります。民間施設は、設備やサービスが充実している一方で、費用負担が大きくなる傾向があります。
施設によっては、
- 入居一時金が必要
- 月額利用料が高額
- 介護サービス費が別途発生
というケースもあるのです。
家族としては、「安全に生活できる場所を確保したい」と思う一方で、「この費用を何年も支払えるだろうか」という不安も出てきます。
介護は長期わたることが多い

出典画像:朝日生命

出典画像:朝日生命
介護費用が不安になる理由の一つに、介護期間の長さがあります。たとえば、病気による入院であれば、ある程度期間の見通しが立つでしょう。
しかし介護の場合は、
- 数年続くこともある
- 10年以上続くこともある
- 状態が変化して費用が増えることもある
という特徴があります。
最初は問題なく支払えていても、長期間になると家計への影響が大きくなることがあります。だからこそ、一時的な支出ではなく、「長く続く生活費」として考えることが大切です。
親世代は「施設に入るお金がある」と思われがち
親が持ち家に住んでいたり、年金を受給していたりすると、「ある程度の費用は大丈夫だろう」と思われることがあります。
しかし実際には、
- 年金だけでは足りない
- 預貯金が思ったより少ない
- 医療費もかかる
というケースも少なくありません。
また、親自身がお金の話をしたがらず、家族が実態を把握していないこともあります。施設探しを始めてから慌てないためにも、早めに家計状況を確認しておくことが大切です。
まずは「払えないかもしれない」と考えることが大切
介護施設の費用について考えると、不安になる人もいるでしょう。しかし、大切なのは、「払えないかもしれない」と早めに想定しておくことで、気が楽になるのです。
なぜなら、日本には介護費用の負担を軽減するための制度が、数多く用意されているからです。制度を知らなければ、本来受けられる支援を受けられないままになってしまいます。制度側からの連絡はほぼ無いものと考えるべきでしょう。
反対に、制度を理解しておけば、
- 自己負担を減らせる
- 家族の負担を軽減できる
- より安心して施設選びができる
可能性が高まるのです。

次章では、介護施設へ入所した場合に、実際にどのような費用が発生するのかを見ていきましょう。
介護施設そのものの種類や選び方については、 「親の施設入所を考え始めたら|老人ホーム・介護施設の種類と選び方をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
親の介護費用は、早めに制度を知っておくことで負担を軽くできる場合があります。
40代からの人生の整理・介護・相続・お金の備えについて、無料メール講座でわかりやすくお伝えしています。
介護施設では実際にどんな費用がかかるのか

介護施設への入所を考える際に、多くの人が最初に気になるのが費用です。
しかし、パンフレットやホームページを見ると、
- 月額利用料
- 入居一時金
- 食費
- 管理費
など、さまざまな項目が並んでおり、実際にどれくらい必要なのかが、分かりにくいことも少なくありません。介護施設の費用は、施設の種類や地域、介護度によって大きく異なります。
本章では、一般的に発生する主な費用について確認しておきましょう。
入居一時金が必要な場合もある
介護施設の中には、入居時にまとまった費用が必要になるところがあります。
とくに、有料老人ホームでは、
- 入居一時金
- 敷金
- 前払い家賃
などの名目で、費用を求められることがあります。
一方で、最近は入居一時金が不要な施設も増えています。ただし、一時金が不要だからといって総額が安いとは限りません。
月額利用料が、高めに設定されている場合もありますので、契約内容をよく確認することが大切です。施設選びでは、初期費用だけではなく、長期的な費用も含めて比較するようにしましょう。
毎月かかる利用料が家計に影響する
介護施設の費用で、最も重要なのが月額利用料です。
施設によって差はありますが、一般的には、
- 居住費
- 管理費
- 食費
- 介護サービス費
などが含まれています。
特別養護老人ホームのような公的施設は、比較的負担が抑えられていますが、民間施設になると毎月の支出が大きくなる傾向があります。
たとえば、月額20万円の場合でも、1年間で240万円、5年間では1,200万円になります。介護は長期間続くことも多いため、毎月の負担額を現実的に考えることが重要です。
食費と居住費は意外と大きな負担になる
介護保険が適用されると聞くと、費用の大部分を補助してもらえるように感じるかもしれません。
しかし実際には、
- 食費
- 居住費
については、自己負担になることが一般的です。
施設で毎日生活する以上、食事や住まいにかかる費用は避けられません。そのため、「介護サービス費は思ったより少なかったのに、食費や居住費が大きな負担になった」というケースもあります。
後ほど紹介します「負担限度額認定」は、こうした費用を軽減できる可能性のある制度です。施設入所を考えている人は、ぜひ知っておきたい制度の一つです。
医療費や日用品費も忘れてはいけない
施設費用を考える際に、見落としやすいのが、日常生活に必要な費用です。
たとえば、
- 医療費
- 薬代
- おむつ代
- 理美容代
- 衣類購入費
- 通院交通費
などが挙げられます。
一つひとつは大きな金額ではなくても、長期間となると、家計への影響は小さくありません。とくに、認知症や慢性疾患がある場合には、医療費が継続的に発生することもあるでしょう。
施設利用料だけではなく、こうした周辺費用も含めて考えることが大切です。
介護度が上がると費用も変わることがある
介護施設へ入所した時点では元気だったとしても、年齢とともに状態が変化することもあるのです。
要介護度が上がると、
- 利用するサービスが増える
- 医療的ケアが必要になる
- 施設変更を検討する
といったことも起こります。
その結果、費用が増加する場合もあります。現在の費用だけを見るのではなく、「将来的にどの程度まで負担が増える可能性があるのか」も確認しておくと安心です。
だからこそ公的支援制度を知ることが重要になる
ここまで見てきましたように、介護施設での生活にはさまざまな費用がかかります。
そのため、「とても払えそうにない」と不安になる人もいるでしょう。しかし、日本には介護費用の負担を軽減するための制度が、数多く用意されているのです。
実際には、
- 高額介護サービス費制度
- 負担限度額認定
- 介護保険料の減免制度
- 医療費控除
などを活用することで、負担を抑えられるケースも少なくありません。
高額介護サービス費制度とは?

介護施設の費用を調べていると、「毎月こんなに払わなければならないのか」と不安になる人も少なくありません。
しかし実は、介護保険制度には、一定額以上の自己負担を軽減してくれる仕組みがあります。それが「高額介護サービス費制度」です。
介護が長期間にわたる場合、この制度を知っているかどうかで、家計への負担が大きく変わることもあります。
本章では、まずは制度の基本的な仕組みを見ていきましょう。
高額介護サービス費制度の仕組み
介護保険サービスを利用すると、利用者は原則として費用の1割から3割を自己負担します。しかし、介護サービスを多く利用した月には、その自己負担額が大きくなることがあります。
そこで設けられているのが、高額介護サービス費制度です。この制度では、1か月あたりの自己負担額が一定の上限を超えた場合、その超過分が払い戻されるのです。
つまり、「介護サービスをたくさん利用した月でも、予め設定した自己負担の上限額で抑えられる」という仕組みです。介護が長期化した場合に、家計の負担を軽減するための大切な制度といえるでしょう。
対象になるのはどのような人?
高額介護サービス費制度は、特別な人だけが利用できる制度ではありません。介護保険サービスを利用している人であれば、多くの人が対象になれる可能性があるのです。
ただし、自己負担額の上限は、
- 所得
- 世帯状況
などによって異なります。
一般的には、所得が低い人ほど、自己負担上限額も低く設定されています。そのため、年金生活の高齢者にとっては特に重要な制度といえるでしょう。
どのくらい負担が軽減されるのか
軽減額は、利用する介護サービスの量や所得区分によって異なります。
たとえば、
- 訪問介護
- デイサービス
- 福祉用具貸与
- 施設サービス
などを複数利用している場合には、自己負担額が上限を超えることもあるのです。
その際は、超過分が払い戻されるため、実際の負担額を抑えることができます。介護度が高くなるほど、サービス利用量も増える傾向がありますので、制度の恩恵を受けるケースも多くなります。
施設利用者にもメリットがある制度
この制度は在宅介護だけでなく、介護施設を利用している人にも関係があるのです。
とくに、
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
などを利用している人は、介護サービス費の自己負担額が大きくなることがあります。
そのため、高額介護サービス費制度によって、負担軽減を受けられる可能性があります。ただし、食費や居住費は対象外です。
この点はよく誤解される部分ですので、注意が必要です。食費や居住費については、後ほど紹介します「負担限度額認定」が関係してきます。
申請方法と注意点
高額介護サービス費制度は、自動的に利用できるわけではありません。自治体から案内が届く場合もありますが、制度の存在を知らずに、手続きをしていないケースもあるのです。
そのため、
- 市区町村の介護保険窓口
- ケアマネジャー
- 地域包括支援センター
などへ確認してみることをおすすめします。
また、制度内容は改正されることがありますので、最新情報を確認することも大切です。
まず最初に確認したい制度の一つ
介護費用の相談を受けると、「もっと早く知っていれば良かった」と言われる制度の一つが、高額介護サービス費制度です。介護は数か月で終わるものではなく、何年にもわたることがあります。
そのため、毎月数千円から数万円の差が、長期的には大きな違いになります。介護費用に不安を感じている人は、まずこの制度の対象になるかどうかを確認してみるとよいでしょう。

次章では、施設入所者にとってさらに重要な、「負担限度額認定」について詳しく解説します。実は、特別養護老人ホームや、介護老人保健施設を利用する人の中には、この制度によって、食費や居住費の負担が大きく軽減できるケースもあるのです。
次の「一例」の画像を参照してください。また、詳細は個々の自治体によって異なりますので、あなたの住まいの自治体窓口で直接確認してください。



負担限度額認定を活用しよう|施設入所者にとって重要な制度

介護施設の費用について調べていると、「介護サービス費よりも食費や居住費の負担が大きい」という話を聞くことがあるのです。
実際、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などへ入所すると、介護サービス費以外にも食費や居住費が発生します。
そして、この部分は介護保険の対象外であるため、全額自己負担になることが一般的です。そこで活用したいのが「負担限度額認定」です。
本章では、この制度を利用できるかどうかで、施設入所後の家計負担が大きく変わることがあります。
負担限度額認定とはどのような制度?
負担限度額認定とは、所得や資産が一定以下の人を対象に、食費や居住費の負担を軽減する制度です。正式には「介護保険負担限度額認定制度」と呼ばれています。
施設へ入所している高齢者の中には、
- 年金収入だけで生活している
- 充分な預貯金がない
- 家族の支援が難しい
という人も少なくありません。
そうした人々が、必要な介護を受けられるようにするための仕組みです。介護施設を利用する際には、ぜひ確認しておきたい制度の一つです。
軽減されるのは食費と居住費
負担限度額認定によって軽減されるのは、
- 食費
- 居住費
です。
高額介護サービス費制度が、介護サービス費の自己負担を対象としているのに対し、こちらは生活費部分の負担を軽減する制度になります。
施設で生活する以上、
- 毎日の食事
- 部屋代
- 光熱費相当分
などは継続的に発生します。
そのため、数か月ではそれほど差を感じなくても、数年単位で考えると大きな金額差になることがあるのです。
対象になる条件を確認しよう
誰でも利用できる制度ではありません。
主に、
- 所得
- 住民税課税状況
- 預貯金額
などによって判定されます。
一般的には、
- 住民税非課税世帯
- 一定額以下の資産
であることが条件になります。
そのため、「年金生活だから当然対象になる」とは限りません。逆に、「預貯金が少ないので対象になると思っていなかった」というケースもあります。まずは市区町村へ確認してみることが大切です。
預貯金要件を見落とさないこと
近年は、資産要件も重視されています。
そのため、
- 預金
- 定期預金
- 有価証券
なども確認対象になるのです。
制度を利用する際には、通帳や残高証明書の提出を求められることがあります。ここで注意したいのは、「所得だけを見て判断しない」ということです。
所得が少なくても、一定以上の資産がある場合は対象外になることがあります。逆に、年金収入があっても条件を満たせば、利用できる場合があります。
特別養護老人ホーム利用者は必ず確認したい
特別養護老人ホームへの入所を検討している人は、とくに確認しておきたい制度です。特養は、比較的費用が抑えられている施設ですが、それでも食費や居住費は継続的に発生します。
そのため、負担限度額認定を受けられるかどうかで、家計への影響は大きく変わってくるのです。
特養だけでなく、
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
などの利用者にも関係する制度です。
施設探しと並行して確認しておくと安心です。
知らないまま損をしている人も少なくない
介護制度は、複雑で分かりにくい部分があります。そのため、本来利用できる制度があっても知らないままになっているケースもあるのです。
とくに、施設入所が決まった後は、
- 契約
- 引越し準備
- 医療手続き
などで忙しくなります。
その結果、制度の確認が後回しになることもあります。しかし、負担限度額認定は長期間利用するほど効果が大きくなる制度です。
施設入所を考え始めた段階で、「自分の親は対象になるだろうか」と確認しておくことをおすすめします。
分からないときは地域包括支援センターへ相談しよう
制度の内容は、改正されることがあります。また、所得や資産状況によって判断も異なります。
そのため、自分だけで判断するのではなく、
- 地域包括支援センター
- ケアマネジャー
- 市区町村の介護保険窓口
へ相談することが大切です。
介護費用は、長期間にわたることが多いため、少しの差が将来的には大きな負担軽減につながります。
介護保険負担限度額認定とは、所得の低い方が介護保険施設やショートステイを利用する際、食費と部屋代の自己負担額を軽減する制度です。該当すると1日あたり1,000円以上安くなることもあります。
次の「一例」の画像を参照してください。また、詳細は個々の自治体によって異なりますので、あなたの住まいの自治体窓口へ直接確認してください。

施設選びでは費用だけでなく、生活環境や介護体制も重要な判断材料になります。 JT21「親が施設に入るとき家族は何を決める?後悔しない施設選びのポイント」もぜひご覧ください。
その他にも活用したい公的支援制度

介護費用の負担を軽減する制度として、高額介護サービス費制度や負担限度額認定を紹介してきました。しかし、実際にはそれ以外にも利用できる制度があります。
介護は、長期間にわたることが多いので、複数の制度を組み合わせることで、家計負担を抑えられる場合もあるのです。
本章では、ぜひ知っておきたい制度を紹介します。
介護保険料の減免制度
介護保険制度を利用するためには、介護保険料を納める必要があります。
しかし、
- 所得が大きく減少した
- 災害などで生活が困難になった
- 特別な事情がある
といった場合には、介護保険料の減免制度を利用できることもあるのです。
制度の内容は、自治体によって異なりますので、お住まいの市区町村へ確認してみましょう。介護保険料そのものの負担を、軽減できる可能性があります。
高額医療・高額介護合算制度
高齢になると、介護だけでなく医療費も増える傾向があります。
たとえば、
- 持病の治療
- 定期的な通院
- 入院
などが重なることも珍しくありません。
そこで活用したいのが、高額医療・高額介護合算制度です。この制度は、医療保険と介護保険の自己負担額を合算し、一定額を超えた場合に、負担を軽減する仕組みです。
医療費と介護費の両方がかかっている家庭では、大きな助けになる場合があります。
医療費控除も忘れずに確認しよう
介護に関連する支出の中には、医療費控除の対象になるものがあります。
たとえば、
- 医師の診療費
- 通院費
- 一部の介護サービス費用
- 医療用おむつ代(条件あり)
などです。
医療費控除を利用すると、所得税や住民税の負担が軽減される場合があります。ただし、対象となる費用や必要書類には条件がありますので、領収書はしっかり保管しておきましょう。確定申告の際に、確認してみることをおすすめします。
自治体独自の支援制度があることも
介護制度は、全国共通のものだけではありません。自治体によっては、独自の支援制度を設けている場合もあります。
たとえば、
- 紙おむつ支給
- 配食サービス
- 福祉タクシー助成
- 家族介護者支援
などです。
内容は、自治体によって異なりますので、地域包括支援センターや市区町村の窓口で確認してみるとよいでしょう。知らなかった支援制度が見つかることもあります。
制度を組み合わせることが家計の防衛につながる
介護費用を抑えるためには、一つの制度だけに頼るのではなく、利用できる制度を組み合わせることが大切です。
たとえば、
- 高額介護サービス費制度
- 負担限度額認定
- 医療費控除
などを適切に利用することで、負担を軽減できる場合があります。
介護制度は、複雑で分かりにくい部分もありますが、知っているかどうかで大きな差が生まれます。「介護費用が心配だから無理だ」と考える前に、利用できる制度がないかを、確認してみることが大切です。
分からないことは遠慮なく相談しよう
制度の内容は、改正されることがあります。また、所得や資産状況によって、利用できる制度は異なるのです。
そのため、自分だけで判断するのではなく、
- ケアマネジャー
- 地域包括支援センター
- 市区町村の介護保険窓口
などへ相談することをおすすめします。
介護費用の不安は、制度を知ることで軽減できることもあります。

まずは、一人で抱え込まず、相談することから始めてみましょう。
ファイナンシャル・プランナー(AFP)がすすめる介護費用対策の考え方

介護費用を軽減する制度は数多くあります。しかし、制度だけに頼っていては充分とはいえません。介護は数か月で終わるものではなく、数年から10年以上続くこともあります。
そのため、本当に大切なのは「家族全体で介護費用をどう支えていくか」を考えることです。
本章では、ファイナンシャル・プランナー(AFP)の視点から、介護費用対策の考え方をお伝えします。
まずは親の年金収入を把握しよう
介護費用を考える上で、最初に確認したいのが、親の年金収入です。意外に多いのが、「親の年金額を正確に知らない」というケースです。
しかし、施設入所後の生活費を考えるためには、
- 老齢基礎年金
- 老齢厚生年金
- 企業年金
などを含めた収入を、把握することが欠かせません。
施設費用の一部を、年金で賄える場合もありますし、不足額がどの程度になるかも見えてきます。介護が必要になってから慌てないためにも、元気なうちから話し合っておくことが理想です。
預貯金や資産の状況を確認しておこう
介護費用は、長期間に及ぶことがありますので、年金だけでなく預貯金の状況も重要になります。
たとえば、
- 普通預金
- 定期預金
- 有価証券
- 保険契約
などです。
介護が始まってから、家族が初めて資産状況を知るケースも少なくありません。また、認知症が進行すると、金融機関での手続きが難しくなる場合もあります。将来の介護費用を考える上でも、早めに整理しておくことが大切になります。
実家をどうするかも大きなテーマになる
介護施設へ入所すると、自宅が空き家になることがあります。
その際、
- そのまま維持する
- 賃貸に出す
- 売却する
などの選択肢があるのです。
ただし、慌てて売却する必要はありません。思い出の詰まった実家には、感情的な問題もあります。また、将来的な相続にも関わってきます。
施設費用が不足するからといって、すぐに売却を決めるのではなく、家族全体で充分に話し合うことが大切です。
子ども世代の老後資金まで使い切らない
介護費用の相談で気になるのが、「子どもが親の介護費用をどこまで負担すべきか」という問題です。もちろん、親を支えたい気持ちは大切です。しかし、子ども世代にも自分たちの老後があるのです。
介護費用の捻出のために子供世帯が、
- 老後資金を取り崩す
- 退職金を使う
- 生活資金を削る
といったことは、慎重に考える必要があります。
親を支えることと、自分たちの生活を守ることは両立しなければなりません。無理のない範囲で支えるという視点も大切なのです。
介護は家族全体のライフプランとして考えよう
介護費用対策は、単なる節約術ではありません。家族全体のライフプランの一部として考えることが重要です。
たとえば、
- 親の介護
- 自分たちの老後
- 子どもの教育費
- 住宅ローン
など、人生にはさまざまなお金の課題があります。
その中で、介護だけを切り離して考えると、無理が生じることがあります。だからこそ、「親のお金」「子どものお金」を別々に考えるのではなく、「家族全体としてどう支えていくか」という視点を持つことが大切なのです。
早めの準備が最大の節約になる
介護費用対策で、最も効果的なのは、実は早めの準備です。
介護が始まってから慌てて調べるよりも、
- 制度を知る
- 資産を整理する
- 家族で話し合う
ことの方が、結果的に大きな負担軽減につながります。
介護は、誰にでも起こり得る身近な問題です。
親のお金や相続について元気なうちに話しておきたい方は、 「親が元気なうちに話しておきたいお金と相続の基本|家族が困らないための準備」もあわせてご覧ください。
介護費用は一人で悩まず専門家へ相談しよう

介護施設の費用について考えると、
- 毎月いくらかかるのか
- 何年続くのか
- 本当に支払っていけるのか
と不安になる人も少なくありません。前掲資料を再度掲示します。


実際、介護は人生の中でも大きな支出の一つです。しかし、介護費用の悩みは、家族だけで抱え込む必要はありません。介護保険制度や公的支援制度には、専門家が関わる仕組みが用意されています。
本章では、分からないことがあれば、早めに相談することが何より大切である点について解説します。
ケアマネジャーは介護の心強い相談相手
介護保険サービスを利用する場合には、多くの人がケアマネジャーと関わることになります。
ケアマネジャーは、
- 介護サービスの調整
- ケアプラン作成
- 施設選びの相談
などを支援してくれる専門職です。
また、利用できる制度についても、さまざまな情報を持っています。介護費用が心配な場合には、遠慮せず相談してみましょう。制度活用のヒントが見つかることもあります。
地域包括支援センターを活用しよう
高齢者の総合相談窓口として設置されているのが、地域包括支援センターです。
介護だけでなく、
- 認知症
- 介護予防
- 権利擁護
- 家族支援
などの、幅広い相談に対応しています。
まだ、介護認定を受けていない場合でも相談できますので、「何から始めればよいか分からない」という人にもおすすめです。地域にある制度や、サービスについて教えてもらえるのです。
市区町村の介護保険窓口も頼りになる
高額介護サービス費制度や、負担限度額認定などの手続きは、市区町村の介護保険窓口が窓口になります。
制度は改正されることがありますので、
- 最新の条件
- 申請方法
- 必要書類
について確認することが大切です。
インターネットの情報だけで判断せず、実際に窓口で確認すると安心できます。
お金の不安はFPへ相談する方法もある
介護費用は、家族全体のライフプランにも影響します。
そのため、
- 親の年金
- 預貯金
- 介護費用
- 自分たちの老後資金
などを総合的に考える必要があります。
こうしたお金の問題については、ファイナンシャル・プランナー(FP)へ相談する方法もあります。介護だけを見るのではなく、家族全体のお金の流れを整理することで、将来への不安を減らせることもあります。
次のリンクから、あなたの身近なファイナンシャル・プランナーを探せます。 CFP®認定者の検索条件 | 日本FP協会
「まだ先のこと」と思わないことが大切
介護の相談でよく聞くのが、「もっと早く調べておけば良かった」という言葉です。
介護が始まってからでは、
- 施設探し
- 介護認定
- 医療対応
- 費用対策
などを、同時に進めなければなりません。
その結果、家族の負担が大きくなってしまうこともあります。だからこそ、親が元気なうちから情報を集めておくことが大切です。
相談することも立派な介護準備
介護費用の問題は、一人で悩んでいても解決しないことが少なくありません。
しかし、専門家へ相談することで、
- 利用できる制度
- 家計の改善策
- 今後の見通し
が見えてくることがあります。
介護は、家族だけで抱え込むものではありません。必要な支援を上手に活用しながら、親にとっても家族にとっても、無理のない方法を考えていくことが大切です。
介護費用に不安を感じたときは、「どうしよう」と悩み続けるのではなく、「誰に相談しようか」と考えてみてください。

その一歩が、安心につながるはずです。
介護費用だけでなく、人生後半のお金全体を考えたい方は、 「老後資金はいくら必要?人生後半を安心して暮らすための考え方」も参考になります。
介護費用や老後資金について考えていると、不安ばかりに目が向いてしまうことがあります。しかし人生の後半は、お金の準備だけでなく、自分自身が楽しみや生きがいを持つことも大切です。
趣味や学びを通じて心豊かな時間を過ごしたい方は、 「なぜ鉛筆画を描くと人生が豊かになるのか?上達だけではない7つの魅力!」もぜひご覧ください。
仕事と介護を両立するためには、制度だけでなく介護者自身の心を守る視点も欠かせません。介護疲れや介護うつを防ぐ考え方については、 JT19「親の介護で疲れたと感じたら|介護うつ・介護ストレスを防ぐための心の整え方」をご覧ください。
まとめ

親の介護施設への入所を考え始めると、多くの家族が費用の問題に直面します。
特別養護老人ホームへ入りたくても待機者が多く、すぐには入所できないこともあります。その間に有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅を利用する場合には、想像以上の費用負担になることも少なくありません。
しかし、日本には介護費用の負担を軽減するための制度が、数多く用意されています。
今回ご紹介しましたように、
- 高額介護サービス費制度
- 負担限度額認定
- 介護保険料の減免制度
- 高額医療・高額介護合算制度
- 医療費控除
- 自治体独自の支援制度
などを活用することで、家計への負担を抑えられる可能性があるのです。
とくに、施設入所を検討している人にとっては、負担限度額認定のような制度を知っているかどうかで、長期間の費用負担に大きな差が生まれることもあります。
また、制度だけでなく、
- 親の年金収入を確認する
- 預貯金や資産状況を把握する
- 実家の今後を考える
- 家族全体で資金計画を立てる
といった準備も大切です。
介護は、数か月で終わるものではなく、何年にもわたって続くことがあります。だからこそ、「今月払えるか」だけではなく、「将来も無理なく続けられるか」という視点で考えることが重要になります。
介護費用の問題は、一人で抱え込む必要はありません。ケアマネジャーや地域包括支援センター、市区町村の介護保険窓口などには、相談できる専門家がいます。分からないことがあれば早めに相談し、利用できる制度を確認してみましょう。
本記事のポイント
- 介護施設の費用は、長期間続くため事前準備が重要。
- 特養へすぐ入れない場合は、民間施設の費用負担も考える必要がある。
- 高額介護サービス費制度で、自己負担額を軽減できる場合がある。
- 負担限度額認定は、食費や居住費の軽減につながる重要な制度。
- 介護保険料減免制度や、医療費控除も確認したい。
- 自治体独自の支援制度が利用できる場合もある。
- 親の年金や預貯金を、早めに把握しておくことが大切。
- 実家の扱いについても、家族で話し合っておく。
- 子ども世代の老後資金まで、無理して使わないことも重要。
- 制度を知り早めに相談することが、最大の介護費用対策になる。
介護費用は、決して小さな問題ではありません。しかし、制度を知り、準備を進め、専門家の力を借りることで、不安を減らすことができます。
「お金が心配だから介護は無理」と考えるのではなく、「使える制度はないか」「相談できる人はいないか」という視点を持つことが、安心して介護に向き合う第一歩になるのではないでしょうか。
親の介護費用は、早めに制度を知っておくことで負担を軽くできる場合があります。
40代からの人生の整理・介護・相続・お金の備えについて、無料メール講座でわかりやすくお伝えしています。
私自身も、起業や転職、失敗や挑戦を繰り返しながら、人生の後半を少しずつ整えてきました。このサイトでは、その経験や学びをもとに、人生の後半を穏やかに充実させるヒントを発信しています。
この記事を書いた人
中山眞治
人生の後半を整えるアドバイザー
ファイナンシャル・プランナー(AFP)・終活カウンセラーなどの資格と人生経験をもとに、 40代以降の人生を「整えながら生きる」ための情報を発信しています。
プロフィールはこちら人生の後半とは、遅すぎるのではなく、これからの人生を整えていける時間がまだ充分にあります。あなたらしい歩み方を見つけるヒントになれば幸いです。

