こんにちは。人生の後半を穏やかに整えるヒントを発信している、中山眞治です。

さて、以前は当たり前のように仕事に向き合ってこられたのに、50代になってから、どうしても気持ちが前向きに動かなくなった。
責任ある立場にいながら、「この働き方をいつまで続けるのだろう」、と考えることが増えた。そのような自分自身の心の変化に戸惑っている人は、決して少なくありません。
仕事への意欲がなくなると、「自分は怠けているのではないか」「年齢のせいで気力が弱くなったのではないか」と、自分を責めてしまいがちです。
しかし、50代は体力の変化だけでなく、職場での役割、家族との関係、残された時間への意識、仕事に求める意味などが大きく変わる時期になります。
必要なのは、以前と同じ意欲を無理に取り戻すことではありません。今の自分に起きている変化を丁寧に受け止めて、これからの働き方と人生の軸を見直すことです。
この記事では、50代で仕事への意欲が低下する背景を整理しながら、人生の後半を自分らしく働き、生きていくための考え方をお伝えします。
それでは、早速見ていきましょう!
50代で仕事への意欲がなくなるのは怠け心や甘えではない

若い頃は、多少疲れていても気力で乗り切れた人が、50代になって仕事への意欲を失うことがあります。
朝起きても会社へ向かう気持ちになれない。仕事はこなしているものの、以前のような充実感を得られない。そのような自分に戸惑い、「もっと頑張らなければ」、と考えている人もいるでしょう。
しかし、50代の意欲低下は、必ずしも怠け心や甘えから来ているとは言えません。長年の疲れに加え、心身の変化、職場での立場、仕事に求める意味の変化などが重なって表れている可能性があります。
本章では、50代に仕事への意欲低下が起こりやすい理由と、その変化の受け止め方を考えましょう。
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長年働き続けてきた心と身体に疲れが蓄積している
50代まで働き続けてきた人の多くは、30年前後の職業生活を経験しています。その間には、転勤や異動、職場の人間関係、昇進、家族を支える責任など、さまざまな負担があったはずです。
目の前の仕事を続けている間は、自分の疲れに気づかないことがあります。休日に身体を休めてはいても、長年の緊張や責任によって積み重なった心の疲れは、簡単には解消できません。
また、50代は、親の介護や子どもの独立、夫婦関係の変化、自分の老後への不安など、仕事以外の負担や不安も増えやすい時期です。職場では以前と同じように働いていても、生活全体の負担は大きくなっている可能性があります。
仕事に対する意欲が落ちたときには、「なぜ頑張れないのか」、と自分自身を責めるのではなく、「これまで長い間、よく働いてきた」、と自分の歩みを認めることが大切です。
体力や集中力の変化が仕事への負担感を大きくする
50代になると、疲れが取れにくくなったり、長時間の集中が難しくなったりする場合があります。以前なら一晩眠れば回復できた疲れが残り、仕事を始める前から身体の重さを感じることもあるでしょう。
こうした変化が続くと、「仕事が嫌になった」と感じがちです。しかし、仕事そのものではなく、これまでの働き方が、現在の体力や生活に合わなくなっているのかもしれません。
若い頃と同じ速さや仕事量を保てなくても、能力や人としての価値が低下したわけではありません。50代には、経験から得た判断力や問題を予測する力、人間関係を調整する力があります。
若い頃の自分と競い続けるのではなく、現在の自分が無理なく力を発揮できる働き方へ変えていくことが必要です。
仕事に慣れたことで達成感や成長実感を得にくくなる
同じ仕事を長く続けると、経験が積み重なり、多くの業務を問題なくこなせるようになります。その一方で、新しいことを覚えたときの喜びや、難しい仕事をやり遂げたときの達成感は得にくくなります。
若い頃には、仕事を覚える、収入を増やす、昇進するといった分かりやすい目標がありました。しかし、50代になると、ほぼこの先の仕事における終着点が予測出来て、その先に目指すものが見えなくなることもあるのです。
仕事はできるのに、何のために続けているのか分からない。この状態が、意欲の低下として表れることもあります。失われたのは働く能力ではなく、仕事を続ける意味や目標なのかもしれません。
無理に大きな目標を掲げる必要はありません。これまでの経験を誰に伝えたいのか、どのような仕事なら納得して続けられるのかなど、今の自分に合った意味を探すことが大切です。
意欲低下の裏に心身の不調が隠れていないか確認する
意欲低下の背景には、心身の不調が隠れている場合もあります。眠れない、食欲がない、朝になると強い不安を感じる、休日にも充実感がなく、気持ちが休まらないといった状態が続く場合は、単なる気分の問題として片づけないことが大切です。
とくに、仕事だけではなく、以前は楽しめていた趣味や人との会話にも、関心を持てなくなっている場合には注意が必要です。一人で解決しようとせず、家族や信頼できる人、勤務先の相談窓口、医療機関などへ相談することも考えてください。
そして、心身が強く疲れているときに、退職や転職などの大きな決断を急ぐべきではありません。まずは自分の状態を確かめ、必要な休息や支援を受けることが先決です。
自分を守ることは仕事から逃げることではなく、これからの人生を立て直すための基盤になります。

50代の意欲の低下は、長年働いてきた心身と環境から届く変化のサインかもしれません。自分自身を責めず、疲れや体調、働き方を確かめることが、人生の後半を立て直す第一歩になるのです。
仕事への意欲の奥にある役割と価値観の変化を見つめる

50代になると、仕事の内容が大きく変わっていなくても、自分の内側で仕事の意味が変わり始めます。以前は昇進や収入、家族を支えることが働く力になっていたのに、それだけでは気持ちが動かなくなることもあります。
また、職場から求められる役割と、自分が望む働き方の間にずれが生まれる時期でもあります。意欲を失ったように見えて、実際には「これまでの目標では心が動かなくなった」、という場合もあるのです。
本章では、仕事への意欲の低下の奥にある、役割、評価、価値観、将来への意識の変化、を掘り下げます。
職場で求められる役割と自分自身の気持ちにずれが生まれる
50代になると、管理職としての責任を負ったり、部下や後輩を指導したりする機会が増えます。経験を重ねた人として頼られる一方で、自分の仕事だけに集中できず、人間関係の調整や問題への対応に時間を取られることがあります。
本人が現場で力を発揮したいと思っていても、会社からは管理する役割を求められる場合もあります。反対に、責任のある仕事を望んでいるのに、年齢を理由に重要な仕事から外されることもあるでしょう。
こうした役割のずれが続けば、仕事への気持ちが離れていくのは自然なことです。仕事そのものが嫌なのではなく、自分が望んでいない役割を演じ続けることに、疲れている可能性があります。
「やる気がない」と一括りにせず、どの役割に負担を感じ、どの仕事なら力を発揮できるのかを分けて考える必要があるのです。
昇進や収入だけでは仕事の意味を感じにくくなる
若い頃は、昇進や収入の増加、家族の生活を安定させることなどが、働くための分かりやすい目標になります。しかし、50代になると、ある程度の立場や収入を得ても、それだけでは満足できなくなることがあります。
これまでは周囲からの評価を励みにしてきた人も、「自分は何のために働いているのか」「この仕事は誰の役に立っているのか」、と考えるようになります。仕事に対して、評価や報酬だけでなく、納得感や意味を求め始めるからです。
これは向上心を失ったのではなく、大切にするものが変わったということです。会社から評価されることよりも、自分が納得できる仕事をしたい。競争に勝つことよりも、経験を誰かの役に立てたい。そのような気持ちが強くなる人もいます。
以前の目標で心が動かなくなったなら、同じ目標を追い続けるのではなく、今の自分が仕事に何を求めているのかを見直す時期に来ているのかもしれません。
仕事に費やしてきた時間と得られたものを振り返り始める
50代は、これまで歩んできた道と、これから残されている時間の両方を意識しやすい年代です。仕事に多くの時間を費やしてきた人ほど、「自分の人生はこのままでよいのだろうか」、という疑問を抱くことがあります。
もちろん、仕事を通じて得た経験や収入、人とのつながりは、人生の大切な財産です。しかし、そのために家族との時間や趣味、やりたかったことを後回しにしてきたと感じている人もいるでしょう。
ここで大切なのは、これまでの働き方を否定することではありません。その時々には、家族や生活を守るために必要な選択だったはずです。過去を後悔するよりも、その経験をこれから先の人生にどう生かすかを考えることが大切です。
仕事への迷いは、過去が間違っていたわけではありません。これからの時間の使い方を、自分の意思で選び直したいという気持ちの表れでもあります。
残された時間を意識すると人生の優先順位が変わる
50代になると、定年までの年数を数えたり、親の老いや身近な人の病気に触れたりすることで、人生の時間には限りがあることを実感するようになります。その結果、仕事だけを優先してきた生き方に疑問が生まれることもあります。
健康を守りたい、夫婦や家族との時間を増やしたい、趣味や学びに取り組みたい。そのような思いが強くなれば、仕事へ向けられる時間や気力が以前より少なくなるのは自然です。
この変化を「仕事への情熱を失った」、とだけ捉えることはありません。仕事以外にも大切にしたいものが見えてきたことで、人生の優先順位が変わったとも考えられます。
すべてを仕事に注ぐ生き方から、仕事と暮らしの両方を大切にする生き方へ移る。それは後退ではなく、人生の後半に合った新しいバランスを探し始めたということです。
仕事への意欲の変化をきっかけに、定年後の暮らしまで具体的に考えておきたい方は、次の記事も参考にしてください。 JT61「定年後の生活が想像できない人へ|退職前の5年間で整えておきたい7つのこと」
無理に仕事への意欲を取り戻そうとしない

仕事への意欲が落ちると、「以前のように頑張らなければ」、と自分を奮い立たせたようとします。しかし、原因を確かめないまま無理を重ねると、一時的に動けるだけで、心身の疲れや仕事への違和感がさらに深まることがあります。
必要なのは、意欲を無理に高めることではなく、意欲を失わせているものを整理することです。そのためには、一度立ち止まり、現在の自分が仕事に対して抱いている感情を見つめる必要があるのです。
本章では、自分を追い込まずに仕事への負担を整理し、これからの方向を考えるための方法をお伝えします。
「以前の自分に戻らなければ」という思いを手放す
仕事への意欲を失ったときに、多くの人は、活力のあった頃の自分と現在の自分を比べます。以前は長時間働けた、困難な仕事にも積極的に取り組めたと振り返り、今の自分に物足りなさを感じることがあるでしょう。
しかし、年齢、体力、職場での立場、家庭環境が変われば、仕事への向き合い方が変わるのは当然です。環境が違うのに、同じ意欲や働き方を求め続ければ、自分自身を苦しめることになります。
以前の自分に戻ることを目標にするのではなく、現在の自分に合った働き方を見つけることが大切です。仕事へ注ぐ力が少なくなったとしても、その分、経験を生かして効率よく進められたり、若い世代を支えたりすることができるのです。
意欲の強さだけで、自分の価値を判断することはありません。これまでとは違う形で力を発揮する時期に入ったと捉えることで、気持ちは少し軽くなります。
仕事そのものと現在の職場への不満を分けて考える
「もう仕事をしたくない」と感じても、本当に仕事そのものが嫌になったとは限りません。職場の人間関係、評価への不満、過度な責任、長時間労働、通勤時間の負担などが、意欲を奪っている場合があります。
まずは、「何がつらいのか」、を具体的に分けて考えてみましょう。仕事の内容には意欲的に取り組める関心はあるものの、現在の職場環境に疲れているのかもしれません。
反対に、職場に大きな問題はなくても、仕事そのものに意味を感じられなくなっている場合もあるのではないでしょうか?
そして、原因が分からないままでは、「辞めるか、我慢して続けるか」、という二択になりがちです。しかし、心的な負担の正体が見えてくれば、業務内容や勤務時間を見直す、配置転換を相談するなど、別の選択肢も考えられるのです。
気持ちを一括りにせず、何に意欲を失っているのかを確かめることが、これからの働き方を選ぶ手掛かりになります。
意欲を奪う負担と残したいものを書き出す
自分の気持ちを整理するには、頭の中だけで考え続けるよりも、紙に書き出す方法が役立ちます。仕事について、「やめたいこと」「減らしたいこと」「続けたいこと」、の3つに分けて考えてみましょう。
「やめたいこと」には、心身を強く消耗させている業務や、必要以上に引き受けている役割を書きます。「減らしたいこと」には、残業や通勤時間、人間関係への気遣いなどが入るかもしれません。
「続けたいこと」も、忘れずに確認してください。人から感謝される仕事、経験を生かせる業務、信頼できる同僚との関係など、今の職場だからこそ得られているものもあるのです。
すべてを捨てるか残すかと考えるのではなく、負担を減らしながら大切なものを残せないかを考えます。書き出すことで漠然とした不満が整理され、どこから見直せばよいのかが分かりやすくなります。
休むことを人生の後半の立て直しとして捉える
責任感の強い人ほど、休むことに罪悪感を持ちます。自分が休めば周囲に迷惑がかかる、仕事が遅れると考えて、疲れていても働き続けてしまいます。
しかし、心身が疲れ切ってからでは、回復に長い時間が必要になることもあります。早めに休息を取り、生活のリズムを整えることは、これからも働き続けるためにも必要な調整です。
休んでいる間に、人生の答えを出そうと焦る必要はありません。充分に眠る、落ち着いて食事を摂る、外を歩くなど、基本的な生活を取り戻すことを優先します。心身が少し回復してから考えた方が、自分に合った判断がしやすくなれます。
休むことは、仕事を諦めることでも、人生から逃げることでもありません。これまで無理を重ねてきた自分をいたわり、人生の後半の歩き方を整え直すための大切な時間です。
意欲を無理に引き上げる前に、何が自分を疲れさせているのかを整理することが大切になります。

以前の自分に戻ろうとせず、必要な休息を取りながら、現在の自分に合う働き方を考えていきましょう。
50代からの働き方を自分に合う形へ組み替える

仕事への違和感に気づいても、すぐに退職や転職を決断することはありません。仕事の量を減らす、責任の持ち方を変える、働く時間を見直すなど、現在の職場にいながら調整できることもあります。
一方で、生活費や老後資金を確認せず、気持ちだけで働き方を変えようとすると、新たにお金の不安を抱える可能性があります。心身の負担と家計の両方を確かめながら、無理のない方法を選ぶことが大切です。
本章では、現在の仕事を続ける場合と変える場合の両面から、50代以降の働き方を組み替える方法を考えます。
続けることと我慢することの違いを見極める
仕事を辞めたいと思いながらも、家族や生活のために働き続けている人は少なくありません。収入や社会保険、将来の年金を考えれば、現在の仕事を続けることには大きな利点があります。
ただし、「続けること」と「我慢し続けること」、は同じではありません。生活を守るために納得して続けているのか、不安や罪悪感によって動けなくなっているのかを見極める必要があるのです。
仕事を続ける場合でも、すべてを今までどおりにする必要はありません。負担の大きい業務については上司へ業務分割の相談をする、残業を減らす、休暇を取るなど、働きながら環境を変えられることもあります。
大切なのは、続けるか辞めるかだけで判断しないことです。仕事を続けながら負担を減らす方法も、人生の後半を守るための大切な選択肢です。
仕事の量・時間・責任の持ち方を調整する
50代からの働き方を考えるときには、仕事の内容だけではなく、仕事に費やしている量、時間、責任を分けて見直してみましょう。意欲を失わせているのは、仕事そのものではなく、抱えている負担の大きさかもしれません。
たとえば、管理職から管理職以外へ役割を変える、担当する業務を絞る、残業や休日出勤を減らすなどの方法があります。会社の制度によっては、短時間勤務や再雇用、配置転換を活用できることもあるでしょう。
役職や収入が下がることを、これまでの努力が否定されたように感じる人もいます。しかし、立場を守るために心身を壊してしまえば、その後の暮らしにも影響します。
これから何年働きたいのか、どの程度の負担なら続けられるのかを考えて、自分に合った力の使い方へ変えていくことが必要です。責任を減らすことは後退ではなく、長く働くための調整と捉えられるのです。
収入が変わった場合の暮らしを具体的に計算する
働き方を変えたいと思っても、収入が減ることへの不安から動けない人は多いでしょう。その不安を小さくするには、漠然と考え続けるのではなく、必要なお金を具体的に確認することが大切です。
現在の生活費、住宅ローンなどの固定費、貯蓄、退職金、将来受け取れる年金を整理して、収入が減っても暮らしを維持できるかを計算します。家計を見直せば、思っていたよりも少ない収入でも生活できる場合もあります。
私が、ファイナンシャル・プランナー(AFP)として学んできた中で感じたことは、お金の見通しがつかないほど、不安は大きくなりやすいということです。反対に、必要額や不足額が分かれば、働く期間や収入の目標を具体的に考えられるのです。
ただし、数字だけで決めるのではなく、健康や自由な時間も含めて考える必要があります。収入を守ることと、心身を守ることの両方を意識しながら、自分に合ったバランスを探しましょう。
これからの働き方を考える際には、老後のお金を守ることと、今の人生を楽しむことのバランスも大切です。詳しくは、次の記事で解説しています。 JT56「人生後半を豊かにするお金と心のバランス|FPが考える幸せな老後設計」
小さく試してから今後の働き方を決める
働き方を変えるときには、最初から一つの道に絞るべきではありません。興味のあることを学ぶ、副業を試す、資格や経験を生かして人を支援するなど、小さく始めながら自分に合う方向を確かめる方法があります。
地域活動や趣味の集まりへ参加することも、仕事とは異なる自分の役割を知る機会になります。収入には直結しなくても、どのような時間に、自分自身が充実感を覚えるのかを確かめられるでしょう。
小さく試せば、向いていないと分かったときにも方向を変えやいものです。新しいことが自分に合わなかったとしても、それは失敗ではありません。選択肢を一つ確かめたというだけの経験になります。
現在の仕事を続けながら準備することで、気持ちと家計の両面に余裕を持てます。急いで答えを決めず、試しながら自分に合う働き方を選んでいきましょう。
仕事だけに頼らない人生の後半の軸を育てる

仕事への意欲が低下したときには、仕事以外の人生に目を向ける機会でもあります。これまで仕事が生活の中心だった人ほど、仕事に代わる大きな目標を急いで探そうとするかもしれません。
しかし、人生の軸は、特別な目標を一つ見つければ完成するものではありません。家族、健康、趣味、学び、人とのつながりなど、複数の支えによって少しずつ形づくられます。
仕事だけで自分の価値を測らなくなると、働き方についても落ち着いて考えられるようになるのです。
本章では、仕事を人生のすべてにせず、これからの時間を自分らしく生きるための軸の育て方を考えます。
肩書や役職を離れた自分自身の価値を見つめ直す
長く働いてきた人ほど、会社名や職種、役職を通じて自分を説明することに慣れています。職場で必要とされ、成果を評価されることが、自信や生きがいにつながってきた人もいるでしょう。
しかし、定年や退職によって肩書を失うと、自分の価値まで失ったように感じる場合があります。仕事だけを人生の軸にしていると、職場での評価が下がったときには、自分自身を否定してしまうことにもつながります。
けれども、これまで培ってきたものは肩書だけではありません。責任を果たしてきた経験、人との約束を守る姿勢、困難を乗り越えた力などは、会社を離れても残るのです。
そこで、自分自身を「会社で何をしている人か」だけではなく、「どのようなことを大切にして生きたい人か」、と考えてみましょう。仕事を離れた自分を知ることは、人生の後半の新しい軸をつくる出発点になります。
これから大切にしたい時間と人間関係を考える
これまで仕事を優先してきた人の中には、家族や友人との時間、自分の趣味を後回しにしてきた人もいるでしょう。50代からは、仕事に使ってきた時間の一部を、暮らしの中で大切にしたいものへ振り向けることもできるのです。
たとえば、夫婦で食事をする時間を増やす、離れて暮らす家族と連絡を取る、古い友人と逢うなど、小さなことから始められます。地域の活動に参加して、職場以外の人と関わることも、新しいつながりを育てるきっかけになります。
人間関係は、定年を迎えてから急につくろうとしても、すぐに深められるわけではありません。働いているうちから、仕事以外のつながりを少しずつ育てておくことも大切なのです。
誰と、どのような時間を過ごしたいのかを考えることは、今後の働き方を見直す基準にもなります。収入や役職だけではなく、大切な人と過ごす時間も人生の豊かさの一部になります。
人生の支えを一つではなく複数持つ
人生の後半を安定して生きるためには、心の支えを一つだけに集中させないことが大切です。仕事だけが生きがいになっていると、職場での立場が変わったときには、生活全体が空虚に感じられてしまうこともあります。
仕事、家族、健康、趣味、学び、人とのつながりなど、複数の支えを持っていれば、一つが思うようにいかないときでも、ほかの支えが心を守ってくれるのです。
資金のかかる大掛かりな趣味や、特別な才能を探す必要はありません。散歩をする、本を読む、音楽を聴く、好きなことを学び直すなど、気持ちが落ち着く時間も大切な心の支えになります。
私自身も、鉛筆画やデッサンに取り組むようになってからは、仕事や日常とは異なる時間の中に、心が目覚める感覚を見つけました。
人生の軸は、最初から明確に見つかるものではなく、小さな関心を育てる中で、少しずつ形になっていくものだと感じています。
仕事以外に心を落ち着かせ、自分らしさを取り戻せる時間を持つことは、人生の後半の大切な支えになります。私自身にとって、鉛筆画やデッサンは作品を完成させるためだけのものではなく、自分と静かに向き合い、人生を豊かにしてくれる時間になりました。
鉛筆画が心や暮らしにもたらす魅力については、次の記事で詳しくお伝えしています。 LS300「なぜ鉛筆画を描くと人生が豊かになるのか?上達だけではない7つの魅力!」
仕事以外にも心が動く時間を持ちたい方は、人生後半を支える趣味の見つけ方について、次の記事も参考にしてください。 JT54「定年後に生きがいを失わないために|人生後半を楽しむ趣味の見つけ方」
答えを急がず小さな納得を積み重ねる
仕事への意欲がなくなると、「自分はこれから何をしたいのか」、という答えを急いで探したくなります。しかし、長年続けてきた働き方や価値観を、短期間で組み替えるのは簡単ではありません。
まずは、自分自身が何をしていると心が落ち着くのか、どのような時間に満足を感じられるのかを確かめてみましょう。休日の過ごし方を少し変える、興味のある場所へ出かけるなど、日常の中で試せることはたくさんあります。
やってみて違うと感じましたら、別のことを試せばよいのです。一度決めた道を最後まで続けなければならないと考えることはありません。小さく選び、小さく確かめることを重ねれば、自分が望む方向性が見えやすくなるのです。
人生の後半の軸は、立派な目標を掲げることではなく、自分が納得できる時間を増やすことから育ちます。焦らず、自分の気持ちを確かめながら、新しい生き方へ進んでいきましょう。

人生の後半の軸は、仕事に代わる大きな目標を一つ探すことではありません。仕事、家族、健康、趣味、学び、人とのつながり、を少しずつ育てて、自分が納得できる時間を増やしていくことが大切です。
まとめ 仕事への意欲の低下は、人生の後半の働き方を見直す合図

50代になって仕事への意欲がなくなると、「自分は怠けているのではないか」「以前より気力が弱くなったのではないか」と、自分を責めてしまうことがあるものです。
しかし、何十年も働き続けてきた心と身体には、自分が思っている以上に疲れが蓄積しています。
さらに50代は、体力や集中力の変化だけではなく、職場での役割、家族との関係、親の介護、自分自身の老後など、さまざまな問題と向き合う時期です。
仕事の内容は変わっていなくても、生活全体の負担が増えたことで、以前のように気持ちを仕事へ向けられなくなる場合もあります。また、意欲がなくなったのではなく、仕事に求める意味が変わった可能性もあります。
若い頃は昇進や収入、家族を支えることが働く力になっていても、50代になると、自分が納得できる仕事や、残された時間の使い方を重視するようになるのです。
今回お伝えしました大切なポイントは、次の7つになります。
- 仕事への意欲低下を怠け心や甘えと決めつけない。
- 50代特有の心身の変化と、長年の疲れを認める。
- 職場で求められる役割と、自分自身の気持ちのずれを確かめる。
- 以前と同じ意欲を無理に取り戻そうとしない。
- 仕事そのものと、現在の職場への不満を分けて考える。
- 心身の状態と、家計の両面から働き方を組み替える。
- 仕事だけに頼らない人生の後半の軸を育てる。
仕事への意欲を取り戻そうとして、自分自身を無理に奮い立たせる必要はありません。まずは、「やめたいこと」「減らしたいこと」「続けたいこと」を整理し、何が自分を疲れさせているのかを確かめてみましょう。
退職や転職をすぐに決断しなくても、仕事の量、時間、役割、責任の持ち方を変えることで、負担を減らせる場合もあります。
働き方を変えるときには、現在の生活費や貯蓄、退職金、将来の年金などを確認し、収入が変わった場合の暮らしを具体的に考えることも大切です。
私が、ファイナンシャル・プランナー(AFP)として学んできた中で感じたことは、お金の状況が見えないままでは、必要以上に仕事を手放せなくなることもあるという点があります。
反対に、必要な金額や働く期間が分かれば、仕事との距離を落ち着いて考えられるようになるのです。
そして、人生の後半を支えるものは仕事だけではありません。家族、健康、趣味、学び、人とのつながりなど、複数の支えを少しずつ育てていけば、仕事の状況に、自分の人生のすべてを左右されにくくなれます。
仕事への意欲が低下したことは、人生が下り坂に入った兆しではありません。それは、これまでの働き方が現在の自分に合わなくなり、新しい生き方へ移る時期が来たことを知らせる合図かもしれません。
以前の自分に戻るのではなく、これからの自分に合った働き方を探していく。その歩みが、人生の折り返し点から始まる新しい時間を、自分らしく整えることにつながっていくのです。
仕事やこれからの生き方について、一人で悩み続けていませんか?
介護・終活・老後のお金・人生を整えるヒントを、メールマガジンでお届けしています。
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私自身も、転職や起業、失敗や挑戦を繰り返しながら、人生の後半を少しずつ整えてきました。このサイトでは、その経験や学びをもとに、人生の後半を穏やかに充実させるヒントを発信しています。
この記事を書いた人
中山眞治
人生の後半を整えるアドバイザー
ファイナンシャル・プランナー(AFP)・終活カウンセラーなどの資格と人生経験をもとに、 40代以降の人生を「整えながら生きる」ための情報を発信しています。
プロフィールはこちら人生の後半とは、遅すぎるのではなく、これからの人生を整えていける時間がまだ充分にあります。あなたらしい歩み方を見つけるヒントになれば幸いです。

